こんにちは。フルクラウド担当 越尾です。
士業がいつも持ち歩くものの中には「パソコン」が含まれるのではないでしょうか?
あるときはクライアントの前で開くこともあるでしょうし、自宅に持ち帰って仕事をする…ということもあるでしょう。
そんな士業がパソコンを買うときの経費の処理と固定資産税についてこのページでは解説します。
目次
パソコンを買ったときの取得価額を出そう!
まず、会計処理を正しくするためには取得価額を正しく判断しないといけません。
パソコンって色んな部位で出来てますよね?
それぞれのパーツごとに会計処理をするのか、全部まとめるか…ですが、パソコンのパーツ一つで仕事ができる訳では無いので、全部まとめた価格が取得価額になります。Microsoftなどのソフトが最初から搭載されている場合はそれも含めて合算してパソコン代として計上することになりますが、あとからご自身で導入する各士業専門のソフトもあるかと思います。
その場合、10万円以下のインストール型のものは消耗品費、クラウド型(サブスク型)は通信費として計上します。
10万円以上の場合は無形固定資産となって減価償却が必要ですので、ご注意ください。なお、減価償却方法はパソコンと一緒なので、下記をご参考にどうぞ!
【取得価額別】取得価額の金額の処理方法
10万円未満:経費 勘定科目は「消耗品」
取得価格10万円未満のパソコンは「消耗品」として会計処理します。
全額その年の費用となります。
まさかのパソコンがボールペンとかと同じ会計処理です
10~20万円未満:一括償却資産として均等償却か少額減価償却資産の特例
取得価格10万円以上だと固定資産になります。
固定資産とは、土地・家屋、無形減価償却資産(ソフトウエア)、事業用資産が当てはまります。
固定資産の会計処理は減価償却をしていくことになります。
減価償却は下記3つの中から選べます。
- 通常の耐用年数によって減価償却
- 一括償却資産として3年で一括償却(条件あり)
- 少額減価償却資産の特例の適用を受けて、全額を購入した年の費用として計上
(※青色申告をしている中小企業等。年300万円まで)
20~30万円未満:少額減価償却資産の特例
減価償却が必要、下記2つから選べます。
- 通常の耐用年数によって減価償却
- 少額減価償却資産の特例の適用を受けて、全額を購入した年の費用として計上
(※青色申告をしている中小企業等。年300万円まで)
どちらでも、課税標準額の合計が150万円以上になると固定資産税の支払が必要です。
30万円以上:通常の耐用年数によって減価償却
通常の耐用年数で減価償却を行うことになります。
パソコンの耐用年数は?
耐用年数は国税庁によって定められています。
パソコンは4年。サーバー用のパソコンは5年です。
通常の減価償却には定額法と定率法がある
定額法 | 定率法 | |
---|---|---|
利用するケース | 個人事業主(建物、建物附属設備、構築物、ソフトウェアは個人事業主・法人を問わず常に定額法) | 法人(建物、建物附属設備、構築物、ソフトウェアを除く)定率法を利用するための届出書を税務署へ提出した個人事業主 機械設備、車両運搬具、工具器具備品については法人も届け出れば定額法で計算することが可能 |
特徴 | 毎年同額を償却する | 当初の償却額は定額法よりも多い |
計算方法 | 取得価額×定額法の償却率 | 未償却残高×定率法の償却率 |
なお、今後取得する建物、建物附属設備、構築物、ソフトウェアに関しては常に定額法です。
少額減価償却資産の特例についても知ろう!
少額減価償却資産の特例は、取得価格30万円未満の償却資産を、一括で経費に計上できる制度です。いくつか注意点があるので箇条書きにして整理しましょう
- 取得価格が30万円未満の償却資産のみに使える
- 上限は300万円/年
- 少額減価償却資産の特例は期間限定(令和8年3月31日までの購入に限る)の制度
- 中小企業で青色申告法人 及び 青色申告の個人
- 常時使用する従業員 300人以下
当初は令和6年3月までの購入に限られていましたが、税制改正で期間が2年延長されています。「そういえば忘れてた、期限過ぎてるじゃん!」と思っていた方、今なら間に合います!
実際の仕訳を見てみよう!
ではここからは実際の仕訳について解説します!
お値段別で行きます。
10万円未満の場合
9万円のパソコンを購入した場合
消耗品 | 90,000 | 現金 | 90,000 |
10~20万円未満の場合:一括償却資産として3年で一括償却
仮に15万円のパソコンを購入した時の会計処理
一括償却資産 | 150,000 | 現金 | 150,000 |
期末、決算処理で一括償却資産を減価償却費に計上
減価償却費 | 50,000 | 一括償却資産 | 50,000 |
- パソコンの耐用年数は4年だけど、一括償却資産なら3年間で償却OK!
- 期中いつ買っても、1年分の減価償却費が計上OK!
- しかも、固定資産税の対象外!
- 途中で捨てても売っても考慮しない
通常の減価償却(定額法)
40万円のパソコンを現金で購入したとき
工具器具備品 | 400,000 | 現金 | 400,000 |
【期首に購入した場合】決算時
40万円×0.25(4年間の定額法償却率)=10万円
減価償却費 | 100,000 | 工具器具備品 | 100,000 |
【期中に購入した場合】決算時
仮に6ヶ月目に購入した場合
40万円×0.25×6ヶ月÷12月=5万円
減価償却費 | 50,000 | 工具器具備品 | 50,000 |
ケーススタディ!
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士業は実際、ノートパソコンを持ち歩くことも多いかと思うので、軽量かつ丈夫なものが良いでしょうから、軽量のパソコンで有名なレッツノートにしましょう。
まずは取得価額を確認する
士業はノートパソコンを持ち歩くかと思うので、軽量なものが良いでしょうから、軽量のパソコンで有名なレッツノートにしましょう。
レッツノート、Amazonで見たところ、19万円でした。
サーバー用ではないので耐用年数は4年ですが、10~20万円の間なので今回は一括償却資産として3年で均等償却します!
一括償却資産で計上する
今回は中小企業前提です。
19万円のパソコンを購入した時の会計処理
一括償却資産 | 190,000 | 現金 | 190,000 |
期末、決算処理で一括償却資産を減価償却費に計上
19万÷3=63,333
減価償却費 | 63,333 | 一括償却資産 | 63,333 |
パソコンは耐用年数が4年ですが一括償却資産の特例で今回は3年で償却…経費にすることが出来ました。しかも、期末ギリギリに買っても期首に買っても同じ!固定資産税もかからないのでオトクです。
固定資産税も要注意!
これでちゃんと記帳できる!のですが、注意点としては固定資産税の存在です。
パソコンなどの償却資産を購入すると固定資産税がかかるかも知れません。
購入前に確認しましょう。
合計150万円以上だと、固定資産税がかかるようになる
合計150万円を超えると固定資産税がかかるようになります。
仮に29万円のパソコンを5台購入した場合、合計145万円。
150万円未満なので固定資産税はかかりません。
30万円未満の少額減価償却資産の特例を使うと固定資産税がかかる
30万円未満の即時償却をした場合、固定資産税がかかります。
【まとめ】パソコン購入時の会計処理と固定資産税
いかがでしたでしょうか?
士業の中でも顧問が多くなる士業と、スポットが多くなる士業の2パターンがあるかと思います。
パソコンの機能性なども考えたいところですが、経費に出来る、出来ないだけではなく、固定資産税や青色申告などいろいろ絡み合うので、ぜひ冷静に、良いお買い物をなさってください!
費用で処理 | 一括償却資産 | 少額減価 償却資産 | 一般的な 固定資産 | |
---|---|---|---|---|
パソコンの金額 | 10万円未満 | 10万円以上 20万円未満 | 10万円以上 30万円未満 | 10万円以上 |
処理の方法 | 全額費用処理 | 3年で一括償却 | 取得年度に 全額償却 | 耐用年数で償却 |
勘定科目の例 | 消耗品代、 事務用品代 | 一括償却資産 | 備品、器具備品など | 備品、器具備品など |
青色申告書 | 不問 | 不問 | 必要 | 不問 |
適用法人 | 法人 | 法人 | 中小企業者等のみ | 法人 |
固定資産税 (償却資産税) | 対象外 | 対象外 | 課税 | 課税 |
で、結局、何を買おう…と迷いましたら、税理士に相談するのも一つの手です。
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