こんにちは。フルクラウド税理士 担当の越尾です。
フリーランスの方で車を所有している人は多いと思います。
最近では、Amazonなどの配送業を本業とされてる方や、Uberなどで副業をしている方もいらっしゃるかと思います。一方で、仕事で車に乗るのは極稀で、基本的にはプライベートで車を使っている…という方もいらっしゃるかと思います。フリーランスと言っても乗り方は色々ですね。
このページでは、そんなフリーランスの車の経費について、解説します!!
目次
経費計上できる費用
フリーランスが車を業務で使用する場合、以下の費用を経費として計上することができます。
- ガソリン代:業務で使用した分のガソリン代は経費として計上できます。
- 車両購入費用(減価償却費):新車や中古車の購入費用は一度に全額計上できませんが、一定の年数にわたって減価償却として計上できます。通常は6年(軽自動車は4年)での償却が一般的です。
- 自動車保険料:業務用に車を使用する場合、その保険料も経費にできます。
- 自動車税:車を所有している場合、毎年支払う自動車税も経費として計上できます。
- 駐車場代:業務で使用するために借りた駐車場の費用は経費になります。
- 修理・メンテナンス費用:車の修理や定期的なメンテナンスにかかる費用も経費です。
- 高速道路料金:業務に関連して使用した高速道路の料金も計上できます。
私用と業務使用の区分(家事按分)
事業で使う車をプライベートでは全く使わない(プライベートでは車に乗らないor別の車を使用)の場合は上記の経費にできる物すべてを経費にできます。
一方で、車を業務とプライベートの両方で使用する場合、経費として計上できるのは業務に使用した分だけです。そのため、業務使用の割合を明確にしておく必要があります。例えば、全走行距離に対する業務での走行距離の割合を計算し、その割合を基に経費を按分します。
【超重要】家事按分は記録をつける
業務で車を使用した際には、日々の走行距離や目的地、使用目的などを詳細に記録しておくことが重要です。この記録が税務調査などでの証拠となるため、必ず正確に記録するようにしましょう。
弊社の場合、エクセルでつけていただくように依頼しております。
エクセルには、年月日、私用か社用か、使用前メーター、使用後メーター、移動距離を記載できるようにしております。
毎月集計をし、業務移動距離/総移動距離を出して、その割合を経費にしましょう。
面倒ではありますが、税務調査に備えて日々コツコツと丁寧な会計を心がけておきましょう。
車の購入時の会計処理について
車のように高価なもので何年にもわたって使用するものは、何年かにわたって費用化していくことで正確な会計ができるようになります。ここでは購入した場合の会計処理について解説します。
1. 減価償却とは?
減価償却とは、車などの固定資産を購入した際、その費用を一度に費用計上するのではなく、一定の年数にわたって分割して計上する方法です。これは、資産が時間の経過とともに価値を失うことを考慮して、会計上の処理を行うためです。
2. 車の耐用年数
車の耐用年数は、税法に基づいて決められています。業務用車両の耐用年数は以下のように定められています。
新車の場合
- 一般的な自家用乗用車:6年
- 軽自動車:4年
- 業務用貨物車(トラック等)は下記の通り
小型の貨物自動車(積載量2トン以下):3年
大型乗用車(総排気量が3L以上のもの):5年
その他の自動車:4年
被けん引車、その他:4年
中古車の場合
中古車の耐用年数は計算が必要です。法定耐用年数に残りがある場合とない場合があります。
法定耐用年数に残りがある場合
中古車の耐用年数=(法定耐用年数ー経過年数)+(経過年数×0.2)
【例題1】5年落ちの乗用車を購入した場合。新車の耐用年数は6年なので下記のようになります。
例題の中古車の耐用年数=(6-5)+(5×0.2)=2
答え 2年
既に法定耐用年数を超えている中古車を購入した場合
中古車の耐用年数=法定耐用年数×0.2
で計算をします。
法定耐用年数が6年の一般的な自家用車を購入した場合、
6×0.2=1.2→2年として計算します。
3. 減価償却の計算方法
減価償却の計算方法には、定額法と定率法があります。2024年度時点での日本の税制では、個人事業主は定額法が原則となっています。
- 定額法:毎年、同じ額を経費として計上します。計算式は以下の通りです。
減価償却費=取得価額×定額法償却率 - 定率法(2024年現在では新規取得にはあまり用いられませんが、参考のために):初年度に多くの減価償却費を計上し、年々減少する方法です。計算式は以下の通りです。
減価償却費=(取得価額−累計償却額)×定率法償却率
定額法償却率と定率法償却率については国税庁 減価償却資産の償却率等表を御覧ください。
4. 減価償却費の計上例
例えば、300万円の新車を購入し、耐用年数が6年の場合の定額法による減価償却費は次のようになります。
【例】初年度の減価償却費
減価償却費=3,000,000円×0.167=501,000円
毎年50.1万円が経費として計上されます。
5. 減価償却の注意点
- 車を事業用と私用で兼用する場合は、先に述べた通り、事業用の使用割合に応じて減価償却費を按分します。
- 耐用年数を過ぎても車を使用する場合、その後は減価償却費として計上できませんが、車の保険料やメンテナンス費用などは引き続き経費として計上できます。
リースの場合の取り扱い
車をリースで利用している場合、リース料も経費として計上できます。また、リース料に含まれる保険料やメンテナンス費用も同様に経費として扱われます。リースの場合は減価償却をする必要はありません。
カーローンは利息も経費に計上
カーローンの返済をしている場合は、返済額を経費にしがちですが、それは間違い。
実際には「(上記の)減価償却費+利息部分」を経費にすることが出来ます。
白色申告の場合は要注意!
白色申告の場合は、事業用に使用した割合が50%以上の場合のみ、費用を経費化することが出来ます。青色申告の場合は50%以下でも割合関係なく家事按分して計上出来ます。
まとめ
フリーランスとして車を使用する際には、経費計上と減価償却を適切に行うことが重要です。特に、業務使用の記録をしっかりと管理し、税務調査に備えることも忘れずに行いましょう。
正しい会計はそのまま税務調査対策になる上、経営状況も良くなる傾向があります。フリーランスにも強い税理士をお探しでしたら、フルクラウドをご検討ください!