こんにちは、税理士法人YFPクレア 営業部の越尾です。
皆さん、お金持ちの解像度ってどのくらいありますか?
え?私ですか?
私は正直、全然でしたね(笑)
と、いうのも、弊社とお取引のあるお金持ちのお客様はだいたい所得があるんデスヨ。所得があるから所得税がかかる。だから税理士事務所にご依頼される…というケースが多いです。
そのため、私は一般の方よりはお金持ちの解像度は高い方だとは思います。
なお、 私が知る限り、給与所得者で、最高額は3億円超です。
ぶっちゃけ、世界が違う…は日常茶飯であるので、驚かないのですが、今回のニュースは更に驚いた…皆様の解像度が少しでも上がって、税について考えるきっかけになればと思います。
「内縁関係の女性の口座に2億円近くを入金で贈与税の決定処分も東京高裁が取り消す、金員は婚姻費用と判断」という見出しのニュース!
どの業界にもその業界の人が読む新聞があるかと思うのですが、税理士業界にも複数あります。その中で私の愛読書は「税のしるべ」という新聞です。
では、このニュースを簡単にまとめるとこんな感じです。
内縁関係の女性の口座に2億円近くを入金で贈与税の決定処分も東京高裁が取り消す、金員は婚姻費用と判断
- 家族構成
男性、内縁関係の女性、女性の子ども2人(1人は男性との子だが認知・養子縁組なし) - 女性は無収入
- 男性から女声の口座に5年間で1億8613万円入金されている
(↑これ、贈与じゃね?と裁判になる) - 一審の地裁「口座は女性本人が作った女性名義だから預金は女性のもの(だから贈与だ!という意味)」「だけど、女性家族と男性の住居の賃料は賃貸契約当事者の男性が支払う義務を負うから、女性には振込を依頼したにすぎないので、その分は贈与税の課税価格から除くべき」
- 二審の東京高裁「まず、女性と男性は当時、内縁関係と認定」
内縁関係だと結婚と同様に婚姻費用分担義務がある。 - 婚姻費用とは、家族(夫婦と未成熟の子ども)が、収入や財産、社会的地位に応じて、通常の社会生活を維持するために必要な生活費のことです。
- では、5年で1億8613万円の入金は、婚姻費用なのか!?それとも贈与か!?を判断するために、夫婦それぞれの収入、資力、このお金をどんなお金だと思っていたか、またどう使ったか…が焦点に!
気になる結果は次の章から!!
ぶっちゃけ、「税のしらべ」を愛読していると、税務署・国税庁側が負けるって滅多にないのでとても珍しいと感じるとともに、なにがあったの!?と興味がわきましたが、そういうことか!では、判断のポイントです!
判断のポイントは!?
- 男性は、50億円超の資産を持っている身体上の障害がある方で、日常生活を送るのが難しい状況
- 賃借してた物件は月額賃料が135万円で、女性に渡した1億8613万円に含まれている
- 男性は預金口座を開設できなかった
- クレジットカードの使用歴から各年分の支出額が1億9863万円
- 支出の内容は生活費と養育費の支出にとどまっている
もらった金額より使った金額が近いし、むしろちょっと多い!
ということで、これは贈与ではなく、生活費として渡したってことだね!と判断。
というお話でした。
あまりにも世界がぶっとんで…いや、優雅過ぎて理解の範疇を超えたので何度も読み返した結果こんな感じでした。
超富裕層を知ろう
皆さん、お金持ちの定義ってどう考えていますか?
日本では「年収1000万円もあるのはお金持ち!」とか「貯金3000万あればお金持ち!」みたいに言われることあるけど、お金持ちには正確な定義はありません。それ故、地域や環境によってはちょっとした違いで「アナタ、お金持ち!」と言われる事もあります。
それは車だったり、家だったり…その人にとって価値あるものを奮発したり、借金を背負って購入したりした場合も、「お金持ちでいいなぁ」と言われることもある可と思います。ですが、仮に、年収1億円でも100億円の借金を抱えていればお金持ちとは言えないと思います。
個人的には、自分の理想の生活を不安なく続けられるのがお金持ちだと思っていますが、それを具体的にお金のみに注目すると純金融資産なのではないか?と思います。
代わりに、純金融資産(金融資産-負債)がどのくらいあるかによって分類するピラミッドが一般的です。

引用:野村総合研究所、日本の富裕層は149万世帯、その純金融資産総額は364兆円と推計 https://www.nri.com/jp/news/newsrelease/20230301_1.html
これによると5億円超は超富裕層に分類されるのですが、なんとびっくり!今回のこの男性は50億円です。
いやぁ…世の中お金持ちはいるものだと思いますが、すごいですよね。ではでは、せっかくなので、日本の超富裕層たちを皆さん、知っていただきましょう!
順位 | 氏名 | 企業名/ブランド名/業種 | 資産額 (億円) | 年齢 | 前回順位 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 柳井 正 一家 | ファーストリテイリング | 5兆9200 | 1 | |
2 | 孫 正義 | ソフトバンク | 4兆2000 | 66 | 3 |
3 | 滝崎武光 | キーエンス | 3兆2700 | 78 | 2 |
4 | 佐治信忠 一家 | サントリーホールディングス | 1兆4500 | 4 | |
5 | 関家一家 | ディスコ | 1兆1500 | 16 | |
6 | 高原豪久 | ユニ・チャーム | 9650 | 62 | 5 |
7 | 重田康光 | 光通信 | 6530 | 59 | 12 |
8 | 森 章 一家 | 森トラスト | 6460 | 19 | |
9 | 安田隆夫 | パン・パシフィック・ インターナショナル ホールディングス | 6380 | 75 | 14 |
10 | 三木正浩 | ABCマート | 6300 | 68 | 10 |
11 | 伊藤兄弟 | セブン&アイ・ホールディングス | 6230 | 6 | |
12 | 毒島秀行 一家 | SANKYO | 5990 | 7 | |
13 | 似鳥昭雄 | ニトリホールディングス | 5920 | 80 | 8 |
14 | 三木谷浩史 | 楽天 | 5450 | 59 | 10 |
15 | 永守重信 | 日本電産 | 5290 | 79 | 11 |
16 | 野田順弘 | オービック | 5140 | 85 | 9 |
17 | 内山一家 | レーザーテック | 4980 | 26 | |
18 | 大塚裕司 一家 | 大塚商会 | 4830 | 15 | |
19 | 小川賢太郎 | ゼンショーホールディングス (すき家など) | 3890 | 75 | 23 |
20 | 島野容三 一家 | シマノ | 3740 | 初 | |
21 | 森 佳子 | 森ビル | 3420 | 83 | 33 |
22 | 多田勝美 | 大東建託 | 3110 | 78 | 22 |
23 | 宇野正晃 一家 | コスモス薬品 | 2960 | 20 | |
24 | 小林兄弟 | コーセー | 2880 | 17 | |
25 | 襟川陽一・恵子 | コーエーテクモ ホールディングス | 2800 | 73、75 | 18 |
26 | 上月景正 | コナミホールディングス | 2720 | 83 | 36 |
27 | 元谷外志雄 | アパグループ | 2650 | 80 | 再 |
28 | 多田兄弟 | サンドラッグ | 2490 | 29 | |
29 | 木下一家 | アコム | 2410 | 35 | |
30 | 福嶋康博 | スクウェア・エニックス・ ホールディングス | 2350 | 76 | 25 |
31 | 荒井正昭 | オープンハウス | 2340 | 58 | 24 |
32 | 永田久男 | トライアルホールディングス | 2260 | 68 | 初 |
33 | 島村恒俊 | しまむら | 2200 | 98 | 39 |
34 | 土屋嘉雄 一家 | ベイシアグループ | 2180 | 91 | 21 |
35 | 吉田嘉明 | ディーエイチシー | 2130 | 83 | 31 |
36 | 前澤友作 | スタートトゥデイ | 2100 | 48 | 28 |
37 | 金子文雄 | 大栄環境 | 2020 | 67 | 43 |
38 | 柴原慶一 | アンビスホールディングス | 1900 | 59 | 30 |
39 | 石橋 寛 | ブリヂストン | 1870 | 77 | 42 |
40 | 松井道夫・千鶴子 | 松井証券 | 1810 | 40 | |
41 | 佐上峻作 | M&A総合研究所 | 1790 | 33 | 初 |
42 | 飯田和美 | 飯田グループホールディングス | 1770 | 84 | 34 |
43 | 宇野康秀 | U-NEXT HOLDINGS | 1760 | 60 | 初 |
44 | 和田成史 | オービックビジネス コンサルタント | 1740 | 71 | 45 |
45 | 栗和田 榮一 | SGホールディングス | 1730 | 77 | 27 |
46 | 中谷忠子 | シスメックス | 1710 | 38 | |
47 | 里見 治 | セガサミーホールディングス | 1650 | 82 | 37 |
48 | 辻本 憲三 | カプコン | 1630 | 83 | 41 |
49 | 粟⽥貴也 | トリドールホールディングス | 1560 | 62 | 初 |
50 | 新井隆司 | ビックカメラ | 1530 | 78 | 48 |
※関家一家は、1937年に広島県でディスコを創業した関家三男氏の相続人で構成されている。

あれ?
50億円ってそんな大富豪でもない???
っていう気持ちになる人もいるのではないでしょうか?ええ。世界がぶっ飛びすぎてて一瞬そう思ってもおかしくないほど、脳のネジをふっとばす威力がある数字が並んでいると思います。っていうか国家予算ですよね?的な金額ですよね…
安心して下さい。50億円持ってたら超富裕層です!
しかし国によっては「お金持ち」は違う!
先ほど、50億円持ってれば、超富裕層です!と言ったすぐ後にこういうのもなんですが、この方、アメリカにいけば「富裕層」。アメリカの場合、超富裕層は資産5000万ドル(約75億円)で超富裕層になります。ビル・ゲイツとかはそうですよねぇ。家にプールあるんでしょうねぇ…お金持ちの解像度がやっぱり低くて…失礼(笑)
さて、一方で、中国の富裕層の定義も見てみましょう
中国の富裕層の定義
記事によると、以下の4つの条件にひとつでも当てはまると”富裕層”に当てはまるそうだ。
1.世帯の貯蓄額が73.2万元(約1400万円)がある場合
2.持ち家の評価価格が50万元(約950万円)で、貯蓄額が30万元(約570万円)ある場合
※家のローンが無い場合3.貯蓄額が0元でも、ローン無しで持ち家の評価価格が73.2万元に達する場合
※中国では約40%の世帯が持ち家を2つ所有しているが、2つの持ち家の総額が73.2万元に達していないと除外。4.貯金額も持ち家も無い場合、毎月6000元(11万4000円)以上の安定した収入がある場合
(参照:ギガテックグループ様 中国富裕層の定義 https://giga-technology.co.jp/20230511-1/)
貯蓄額も持ち家もない場合、毎月6000元(11万4000円)以上の安定下収入がある場合も富裕層だそうです・・・
えー?マジで?😨
それだと、日本の年収200万円レベルの人も富裕層…ということになります。
人生長く生きてると驚くこといっぱいあるなぁとしみじみします。
今、日本で揺れる「お金持ち」。
さて、2024年10月に行われた衆議院選挙によって、国民民主党が掲げた「基礎控除+給与所得控除で178万円」という政策を自民党・公明党含めた3党で会議した結果、
年収200万円以下なら160万円
年収200~500万円なら基礎控除58万円+給与所得控除+10万円(2年間限定)
年収500万超で基礎控除58万円+給与所得控除
という超低次元な所得制限を自民党案が出されたため、ついに日本は200万円が高所得者扱い!と話題になりました。
年収200万円以上の皆さん、お金持ち認定おめでとうございます。
多分、全然うれしくないと思います。
ですが、既に驚くほど、日本には所得制限があります。
私がずっと応援している子育てに関する所得制限もやっとこさ「児童手当」と「高校無償化」の所得制限は撤廃。「障害児の補装具の所得制限撤廃」のニュースを見たときはとても救われる思いがしました。
知らない方のために言っておくと、障害児の補装具というのは義足や車椅子などです。子どもは体が成長するので、同じものを5年も使えばサイズアウトしてしまい、使えません。ところが、これらはすべて障害や体に合わせて、完全なカスタマイズで作られるため、100万円とか係るそうです。他にも放課後デイサービスなども所得制限で受けられず、きょうだい児が面倒を見ざるを得ない…などの状況を拝見して鬼の所業かと思いましたよ。
で、補装具の所得制限が年収1200万円。
あ、今、もしかして、
「お金持ちだから大丈夫じゃね?」と、思いましたか?
そうなんですよ!皆さん!!
自分より年収が高ければ「余裕でしょ!」というんです。だからどんどん所得制限は下がっているのが今の状況です。
だって、収入0円の人からしたら、200万円なんてお金持ちでしょう?
今回、自民党の所得制限は200万円まで下がったんだと思います。
今後もどんどん下げていくつもりではないでしょうか?
実際、年収1200万円の障害児のいるご家庭の家計は火の車。
放課後デイサービスは所得制限を超えてしまうと、4600円から37,200円に跳ね上がります。本来、障がいをもったお子さんが自立した生活を送るための支援策として存在しているはずの放課後デイサービスが親の所得で満足に受けられない…という事例が発生しているのです。
年収1200万円だと、配偶者控除0円。税金は厚生年金71万、健康保険59万、雇用保険7万、所得税95万、住民税73万。結果的に手取りは893万円です。
この中から、補装具100万円、放課後デイサービス44万円を差し引くと749万円!になります。
あ、今、もしかして、
「それでもお金持ちだから大丈夫じゃね?」と、思いましたか?
そうです。そういうことばっかり言って「自分より年収高い人は取られて当たり前」という姿勢こそが基礎控除の壁が200万円にされたんだと思って下さい。
ずっと所得制限を追ってきた身としたら、だからいわんこっちゃない!って正直思いました。。
割と分かっていた結果だなーと思うんですよ。
●基礎控除の所得制限 2020年 2400万円超 → 2025年 2350万円超
●住宅ローン控除の所得制限 3000万円→2000万円(2023年改正)
と、所得制限のバーは下げられる傾向があります。逆に私も含め、大騒ぎした子どもに関する所得制限は大騒ぎしたかいあって、撤廃の動きもあります。
そもそもが基礎控除というのは、生活に必要な最低限には税金かけませんよ!という控除なので、高所得者であろうが生活している以上、基礎控除は必要なはずなんです。
ですが2020年に基礎控除に所得制限ができたときに「そんなのおかしい!」と国民はどれほどの声を上げたでしょうか?
皆さん、自分が関係ないから反対しなかったのでは?
お金持ちなら税金取られても仕方ない、お金持ち何だから大丈夫…そんなこと思ったのではないでしょうか?
私は何度でも思います。2020年に基礎控除に所得制限なんてできる前に
「んなアホな話あるかい!!」
「最低限度の生活を保証する生存権は守れー!」
と全国民で猛反対をしていたら今回のように200万円で基礎控除の線引なんてされなかったのではないか?・・・と。既に基礎控除に所得制限がある…ということで「生活できるなら基礎控除は別にそんな必要ないってことで国民は納得している」とも読み取れるからです。
すべてはこのときには始まっていたのではないか?と思う事があるのです。
対岸の火事だと思ってたらあっという間に自分が火だるまになってしまった本件。
今回の基礎控除200万円の壁は「所得制限は対岸の火事」だと思っていた日本国民を大いに怒りを買ったと思いますが、年収2000万円以上で多額の納税を納めているのにも関わらず、基礎控除や配偶者控除もなく、社会保険料も高い負担をしているのにも関わらず、高額療養費制度などはびっくりするくらい高い負担。
彼らはずっと、ずっと皆様のような不満を抱えながら高額納税をされていたのではないでしょうか?
そして「お金持ちだから…」と出そうになったら「あの人も自分も労働者階級!」と思って頂ければと思います。
実際のお金持ちというのは、資産家の皆様。先に述べた日本の富裕層のほとんどは給与所得ではなく、自社株の配当がメインです。労働者階級同士、みんなで豊かになる道を選べたらいいなぁと切に願っております。