1月30日、札幌国税局は、農作業請負業者であるプリンシプル・サービス合同会社(北海道旭川市)及び代表社員の佐々木原哲氏を、消費税法違反などの疑いで旭川地検に告発しました。告発日は令和6年12月3日で、同社が行ったとされる脱税額は約3400万円にのぼります。
事件の概要
プリンシプル・サービス合同会社と佐々木原氏は、売上代金を事業実態のない関係法人名義の預金口座で受領するなどの手口を用いて、消費税及び地方消費税の課税標準を隠していました。その結果、平成30年12月1日から令和3年11月30日までの3課税期間において、消費税及び地方消費税の確定申告書を提出せず、法定納期限を過ぎても納税を行わなかったとされています。この行為により、約3400万円の納税を免れたことが問題視されています。
国税局の査察とは?
国税局による査察は、通常の税務調査とは異なり、悪質な脱税行為が疑われる場合に行われる強制的な調査です。査察部門が関与し、事前の情報収集や証拠固めを行った上で、突然の立ち入り調査を実施します。査察では、企業や個人の帳簿、銀行取引、電子データなどが詳しく調べられ、不正の証拠が見つかった場合には刑事告発に至ることもあります。
査察の対象となるケースとしては、売上の隠蔽、架空経費の計上、ダミー会社を利用した利益操作などが挙げられます。今回のケースでは、売上を事業実態のない関係法人の口座に移すことで、消費税の申告を逃れようとした点が問題となりました。
何が問題だったのか?
今回の事案では、以下の点が問題となりました。
1. 売上の秘匿行為
事業実態のない関係法人の口座を利用し、売上を隠すことで課税対象を偽装した点が違法と判断されました。
2. 無申告による税逃れ
本来、消費税や地方消費税は課税期間ごとに確定申告を行い、納付しなければなりません。しかし、同社は3年間にわたり確定申告を行わず、結果として多額の税を免れていました。
3. 組織的な脱税の可能性
代表者個人だけでなく、法人を利用した脱税スキームが構築されていた点も問題視されました。このような手法は悪質性が高く、税務当局による厳しい取り締まりの対象となります。
待ち受けるペナルティは?(予想)
まだ「消費税違反などの疑い」で告発された段階なので、どんな罰(ペナルティ)が課されたかどうかはわかりませんが、こんな罰を受けるのではないか?と予想されます。
1. 刑事罰(罰金・懲役)
無申告ほ脱は 消費税法第65条 および 国税通則法第68条 により、以下の刑罰が規定されています。
- 10年以下の懲役または1000万円以下の罰金、またはその両方
- 悪質な場合には、法人に対しても罰金刑が科される可能性がある
今回のケースでは、3年間にわたる無申告 かつ 売上を偽装するスキームを利用 していたため、通常の無申告よりも悪質と判断される可能性が高いです。そのため、懲役刑が科される可能性もあります。
2. 重加算税・延滞税
刑事罰とは別に、行政上のペナルティとして以下の税金が課されることになります。
- 重加算税(35~40%)
虚偽の手口を用いた場合、追徴課税として3400万円の 35%~40%(約1190万円~1360万円)の重加算税 が課される可能性があります。 - 延滞税(最大14.6%)
本来納付すべき時期からの遅延分について、最大年 14.6% の延滞税が発生。
このように、脱税額を超えるペナルティ が課されることがあり、最終的な支払額は 5000万円以上 になる可能性もあります。
3. 社会的制裁
今回のケースでは、企業名と代表者名が公表されており、信用を大きく失うことは避けられません。具体的には:
- 銀行からの融資が受けにくくなる(脱税歴があると金融機関の信用審査で不利)
- 取引先との契約解除の可能性(特にBtoB取引では税務コンプライアンスを重視する企業が多いため)
- 再犯防止のため、税務署の監視対象になる(今後の税務調査がより厳格に)
まとめ
今回のケースでは、売上の秘匿、無申告による納税回避、組織的な脱税スキームが問題となり、告発に至りました。今回の脱税は組織的で、悪質生が高いと判断される可能性があります。悪質性が高いと判断されれば、刑事罰(罰金刑や懲役刑)、追徴課税(しかも重加算税に無申告加算税)もあり、社会的信用も失墜します。
法人経営者は、適正な会計処理を行い、納税義務を遵守することが求められます。税務調査は近年ますます厳格化しており、違法行為が発覚した場合には、重いペナルティが科される可能性が高いため、適正な申告と納税を心掛けることが重要です。