フルクラウド税理士 WEB担当の越尾です。
税務調査…と聞くととにかく怖い!と感じるかと思いますが、実際は穏やかな時間が流れることも多く必要以上に怖がる必要はありません。
とはいえ、税務調査未経験の方にとっては、オバケのような怖さがあると思います。(見えない怖さ、知らない怖さ、未知のものへの恐怖…といえばいいのかもしれません)
逆にいえば、知れば怖くないし、きちんと申告・期限内に納税までしていれば、お咎めなし!このページでは、税務調査でどんなことを調べられるのかについて解説します!
目次
税務調査とは
税務調査の目的は、納税者が適切に税金を申告し、納付しているかを確認することです。
税務調査は、申告漏れや過少申告などの誤りを発見し、適切な税額を徴収することで、税制の公平性を保つ役割を果たします。また、税務調査の実施は、納税者に対して正確な申告を促す抑止力としても機能し、税務コンプライアンスの向上に寄与しています。
税務調査で見られる事項
税務調査ではどんなことを見られるのか、知っておきましょう。
申告内容の確認
税務調査では、まず納税者が税務申告した内容が正確かどうかを確認します。これは、申告された所得や経費、税額が適切に計算され、申告されているかを詳細にチェックする作業です。申告内容に誤りがあると、結果的に納付すべき税額が変わるため、正確性が求められます。
売上の計上漏れ
売上の計上漏れは、税務調査で特に注目されるポイントです。例えば、事業の収益がすべて正しく申告されているか、あるいは報告されていない売上や隠れた所得がないか、売上の時期を故意のずらしていないか…などを確認します。計上漏れが見つかると、追加の税金が課されることがあります。
経費の適正性
経費の適正性も税務調査で重要視される点です。申告された経費が業務に直接関連しているか、または過剰な経費計上が行われていないかを確認します。適正でない経費が申告されている場合、経費として認められず、結果的に納税額が増えることになります。
帳簿や書類の保管状況
帳簿や関連書類の保管状況も調査対象です。税務調査では、帳簿が適切に記帳され、必要な書類が揃っているかが確認されます。保管が不十分であったり、帳簿に誤りがある場合、税務署からの指摘を受け、追徴課税や罰則が科されることもあります。
税務調査の流れ
事前告知
映画やドラマの税務調査はいきなりコワモテの税務調査官がぞろぞろと会社の中に入ってきて段ボールに資料を詰めて去っていく…というシーンがありますが、実際は多くの場合は2週間ほど前に事前告知されます。
とはいえ、不正や脱税が疑われる場合は事前告知無しで税務調査をされるケースもあります。
事前準備
税務調査が入る日程が決まったら、準備をしましょう。
1. 帳簿類
総勘定元帳や仕訳帳など、日々の取引を記録した帳簿は必須です。これらは、調査官が申告内容を確認するための基本資料となります。
2. 領収書や請求書
経費や売上を裏付ける領収書や請求書は、すべて保管しておきます。特に高額な取引や頻繁に使用される経費については、詳細に記録されていることが重要です。
3. 銀行口座の通帳や取引明細
事業用の銀行口座の通帳や取引明細は、現金の入出金や売上・経費の流れを確認するために必要です。これにより、帳簿と実際の取引が一致しているかを確認します。
4. 契約書や合意書
取引先との契約書や合意書も重要です。特に大口取引や長期にわたる契約については、契約書を確認することで、取引内容や条件が適正であるかどうかを判断されます。
5. 税務申告書と関連資料
過去の税務申告書やその際に提出した資料は、調査の際に必ず確認されます。申告内容と実際の取引内容が一致しているかを見直すため、これらをしっかりと準備しておくことが求められます。
6. 在庫管理の記録
物品を取り扱う事業者の場合、在庫の管理記録も重要です。棚卸表や在庫帳簿を用意し、実際の在庫数と帳簿上の在庫が一致しているか確認できるようにしておきます。
7. 給与支払明細や社会保険関連の書類
従業員を雇用している場合、給与の支払明細や社会保険の納付記録も必要です。これにより、適正な給与支払や社会保険の適用が行われているか確認します。
8. 関連する電子データ
最近では、電子帳簿やクラウド上で管理されているデータも調査対象となることがあります。これらのデータを迅速に提供できるよう、必要に応じて準備しておくことが重要です。
9. 税理士とのやり取りの記録
税理士とやり取りした際のメモやメールの記録も、税務調査で役立つことがあります。税務署の質問に対して、税理士の助言や見解を説明する際に使用できます。
なお、これらの書類はパソコンの中に保存されていることも多いと思います。特にWEB制作やWEB開発の会社は紙よりデータ保存が基本の方が多く、電子帳簿保存法に則ってパソコンの中にこれらのデータがあるかと思います。その場合、みてもらうパソコンを用意しておきましょう。
実地調査1日目
午前10時頃、訪ねてきます。
シワ一つないアイロンがきれいにかかったシャツに、真っ黒のスーツを着てくる事が多いです。一人でくる場合もあれば、2人で来ることもあります。
最初は世間話です。会社の事業内容や創業の目的などをヒヤリングされます。それ以外にも話が弾んでくると土日はどんなことをするのか、趣味などについても聞かれます。
ここで「ゴルフが好き」などと話すとプライベートのゴルフ関連が経費として上がっていないだろうか…と後の調査にも繋がります。とは言え、ここで変に隠せば余計に疑われることになるので、フラットな気持ちで望みましょう。
大体午前中はインタビューで終わります。
昼休みは調査官だけで食べに行きます。会社で用意しても断られる事が多いので準備しなくて大丈夫です。
午後からは調査官がめぼしい資料をチェックし始めます。
税務調査官に聞いたところ、売上からチェックをするか、経費からチェックするかは調査官によるそうですが、弊社が見ている限り8割方売上からチェックをすることが多いです。経費性は議論の余地がありますが、売上を誤魔化した場合は議論の余地なく追徴の対象になるからではないかと思います。
また、外注がいる場合は契約書なども隅々までチェックします。
16時頃になるとその日の調査は終了です。
調査2日目に用意してほしい資料などを言われます。
調査2日目
調査2日目は給与や賞与、経費が正しく処理されているかを調査されます。
外注がいる場合は、消費税逃れのために、本当は社員なのに外注扱いにしているのではないか?パソコンやスマホは貸与していないか?など細かくチェックされます。
また、近親者に会社経営をしていて取引がある場合はそのお金の流れが正規のものかどうかなども調査。
この辺のことは、調査官は調べた上で時間の制限がある税務調査で確実に成果を上げるために事前に調査するポイントを調べてから来ると思っておいてください。
結果&場合によっては修正申告
税務調査官は税務署に書類を持ち帰って上と相談した結果を、調査2日目終了から数日から1ヶ月程度を目安に結果を税理士に伝えられます。(税理士がいない場合は直接)
結果次第によってはそこから議論が始まったり、修正申告をしたり・・という流れになります。
税理士がいる場合は税理士を介して税務調査官と話すことになりますが、税理士がいなければご自身で対処する必要があります。
税務調査官は事前調査をきっちりしてから、証拠を抑えにやってくる
税務調査官もヒマではありません。
公正・公平な税徴収を実現するために、数多とある申告書の中から「ここは延滞税、追徴課税取れるぜ!」と思ったところにやってきます。
ダーツの旅のように適当に来るわけではなく、何かしら狙いを定めてやってくると心得ていてください。
税務調査が入りやすい状況を知ろう!
税務調査が入りやすいのはこんな状況の法人・個人です!
- 不正が多く疑われやすい業種である
- 消費税の還付を受けた
- 無申告
- 取引先に税務調査が入り、資金の流れが明確になった結果芋づる式
- 売り上げが大きく増えている
- 申告内容に不審点がある
- 同業種と比べて利益率が低い(経費等の支出が大きすぎる)
- 所得が低いのに高額なもの(車や家など)を購入している
税務調査が入りしやすい状況がわかれば、税務調査が入りにくい状況を作れば税務調査が来る確率を下げることが出来ます!
税務調査が入りにくくする予防策
適切な記帳と帳簿管理
- 正確な記帳を行い、すべての収入と支出を記録する。
- 帳簿や領収書、請求書などの関連書類を法律で定められた期間(通常7年間)保管する。
正確な税務申告
- 適正な所得を正確に申告し、申告漏れや過少申告を避ける。
- 税制優遇措置や控除を利用する場合は、その適用要件を満たしていることを確認する。
経費の正当性を確保する
- 経費として計上する項目は、業務に直接関連するもののみとし、不適切な経費計上を避ける。
- 交際費や接待費の計上には特に注意を払い、必要な証拠書類を揃える。
現金取引を減らす
現金取引は税務調査の対象となりやすいため、できるだけ銀行振込やクレジットカードなどの記録が残る方法を利用する。
定期的な税務チェックと見直し
- 定期的に税理士と相談し、税務の専門家によるチェックを受けることで、申告内容や記帳の精度を維持する。
- 税制の改正に合わせて、適切に対応する。
異常な値動きを避ける
- 売上や経費に大きな変動がある場合は、その理由を説明できるように準備する。
- 急激な利益の増減や、業界平均と比較して異常な値動きは、税務調査の引き金になる可能性がある。
外国取引の透明性を確保する
- 海外取引や外国資産の管理について、税務当局に正確に申告する。
- 移転価格税制などの国際税務に関連する規制に遵守する。
適切な税務プランニング
- 長期的な視点での税務プランニングを行い、合法的な範囲での節税を心掛ける。
- 短期的な節税策を採用する際には、そのリスクを十分に検討する。
信頼できる税理士を利用する
- 信頼できる税理士を選び、適切な税務アドバイスを受ける。
- 税務調査に関する知識や経験が豊富な税理士のサポートを受けることで、調査リスクを軽減する。
透明な経営を心がける
経営活動全般において透明性を保ち、税務署から疑いを持たれるような取引や行動を避ける。
パソコンの中身は見られるのか?
任意ではありますが、パソコンの中身を見られることがあります。
Wordで作成した同意書が、実は決算日後に作られたことを証明され、追徴課税…という例もあります。
無闇矢鱈に勝手に見られることもなく、許可を求められた上で任意で見せる…ということになりますが、任意の税務調査であっても拒否・拒絶することは法律で禁止されているので協力しなければなりません。
そのため税務調査官に
「パソコンのデータを見せてください」といわれれば見せざるを得ないことになります。
パソコンで見られるものは?
- 会計ソフトの内容
- 請求書などの証憑
- メールの履歴
- 契約書、合意書、計算書、管理表など
その他、操作履歴や検索履歴などを見られるケースもあります。
パソコンの履歴を削除したら、したで、「隠し事してます!」と自白しているようなもの。削除されたデータの復元まで税務署がやるかどうか…というと、必要と判断されればデータ復元をして確認されるケースもある…と言われています。
【まとめ】慌てないためにも税理士を
「これは見つかってはまずい!」と思って慌てて隠した書類。実はそれは見られても大丈夫な書類の可能性もあります。その場合、そのハラハラドキドキする気持ちが税務調査官には「この人、なにか隠してるな」と感じさせる原因に繋がります。
一方で、社長はノーマークの書類こそ、税務署が探している書類の可能性もあります。
慌てないためにも税理士と相談をしながら日々の業務の合間に、税務を行いましょう。フルクラウド税理士では、日々の相談はチャットでチャチャッと。大事な相談にはzoomでガッツリ相談で、税務調査時にも慌てないですむようにサポートしています!