個人事業主は家族で経営をすることも多いので「フリーランスとしてある程度収入入ってきたら、奥さんや子供にも手伝ってもらって、給与を支払おう!」と思っている人もいらっしゃるのではないでしょうか?
ええ。やりたくなりますよね?
ご自身の所得が高くなるよりも、奥様やお子さんのアルバイトになったほうが節税にもなりそう…とか思っていませんか?
しかし、そうは税務署は許さない!実は、個人事業主が親族に給与を払っても、生活を一にしている家族に対する給与は経費にはならないのです。でも、青色申告をしている場合には例外もあり!
このページでは、そんな【個人事業主が家族に給与を払いたい!】というときに読んでいただければと思います!
目次
家族に手伝ってもらいたい!!そんな人も多いはず!
漫画家「SNSへのアップとか、経理業務とか、アシスタント業務とかを家族に手伝ってもらっているのでその対価を払いたいです」
飲食店「奥さんが料理上手なので、奥さんは料理、自分はコーヒーを担当してカフェ経営をしたいです」
士業「家族には経理をやってもらいたいです。従業員には見せられないので…」
カメラマン「子供にモデルをやってもらっています。モデル料、払いたいです」
歯科「親戚にデザイナーがいて、院内のデザインをしてもらいました。適正報酬を払おうと思います。」
フリーランスでも、売上が上がってくると本業以外の部分は誰かに頼みたくなったり、本業も手伝って欲しい!というケースも少なくないと思います。ですが、基本的には、事業所得における所得税は、家族が一つになって事業を営んでいる…という前提にいます。そのため、夫婦で経営をしていたとしてもその代表で誰か一人が確定申告をしている…というイメージになってしまうのです。
そこで【専従者給与】!
個人事業主の給与は、通常、血の繋がりのない他人の従業員を雇った際に支払われるものは経費になりますが、家族に支払われた給与は経費になりません!では…
お料理上手な奥様「ちょっと!じゃあ私はタダ働き!?なんでよ!!」
と言いたくもなりますよね。他のお店で従業員として働けば自分のお金が手に入るのですから…。これでは夫婦家族仲良く1つの事業なんて出来ません。
そのため、手続きと一定条件をクリアすることで、家族に支払った給与も経費として認められる様になるのが【青色申告の専従者控除制度】です。
専従者として認められる条件
- 個人事業主と生計を一にして暮らしている配偶者、親、祖父母、子ども
- その年の12月31日時点で、年齢が15歳以上(学生は原則不可)
- 年間のうち6ヶ月以上はその事業に専ら従事すること
【必要な手続き】
青色申告:青色事業専従者給与に関する届出書を税務署に提出
(締め切り:その年の3月15日まで)
他に従事してたら専従者として認められる?
専従者というと、家族の事業の従業員のみにしか従事していません!という意味になりますが、実際にはパートやアルバイトを週2くらいでやっているのでは、専従者として認められます。
一方で、フルタイムや正社員として働いている場合は専従者とは認められません。
青色と白色では専従者に払える上限額が異なる
白色には上限あり!
白色申告の場合は、上限があります。
ちなみに限度額は、以下のA.Bのうち少ない金額となります。
A.配偶者:86万円・配偶者以外:50万円
B.事業所得を専従者の数に1を加えた数で割った額
【例題1】事業所得500万円、専従者が一人の場合
500万円÷(1+1)=125万円
この場合、Aの金額=86万円の方が少ないので、給与支払限度額は年間86万円となります。
【例題2】事業所得150万円、専従者が一人の場合
150万円÷(1+1)=75万円
この場合、Bの金額=75万円の方が少ないので、給与支払限度額は年間75万円となります。
青色申告は上限なし!
青色申告をしていて、きちんと届出書に給与額も記載して期限内に提出していれば上限なく支払う事はできます。ただし、届出書に記載する金額は上限額なので、それ以下でもOK。
白色でも青色でも、配偶者控除は受けられなくなる
ただし、青色も白色も言えることですが、専従者にした場合、配偶者控除が受けられなくなります。
配偶者控除は38万円なので、どちらのほうが得か?も考えて設定しましょう。
専従者の給与の額にも要注意
青色事業専従者給与には上限がありませんが、給与は適正額にしないといけません。税務署が言う「適正額」はこんな感じです。
- 家族にやってもらう業務内容を決めて、同業同職種と同じくらいの賃金
「他人にそんなに給料払うの?」と聞かれますよ! - 10万円以下が一般的(88,000円未満だと源泉徴収の必要ないので会計処理がらく)
- 青色申告者の収入とバランスを見て考慮
専従者給与を使った節税例
青色事業専従者給与は節税になるよ!と言っても、正しくやらないと節税にはなりません!
配偶者控除、扶養控除より高くなるように設定
配偶者控除は最大38万円です。それよりも専従者給与が少ないと損してしまうので、38万円分以上に設定をし、その分、働きましょう。
税負担も考慮して設定を
「収入の壁」とよく言いますが、収入が
- 100万円で「住民税」
- 103万円で「所得税」
が専従者側にもかかるようになりますので、8万円弱/月にすることが多いです。
個人事業税は課税所得290万円以上からなので、それを超えないように専従者給与を支払うことも節税に繋がります。
賢く使って、ファミリーもハッピーな良い節税を!
個人事業主の方でもできる節税方法です。
ぜひ活かして、ハッピーライフをお過ごし下さい!
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