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漫画家向け【実例あり】平均課税で節税をしよう!

節税対策

はじめに

みなさまこんにちは。税理士法人YFPクレアです。今回は確定申告の時期ということもありますため漫画家先生特有の所得計算方法でもある「変動所得と平均課税」と題してお話させていただきます。

変動所得とは

事業所得又は雑所得のうち一定の所得であり、次項で説明する「平均課税」の対象となる所得です。
その年々で所得が大幅に変動することが見込まれるものとして法律により定められているものが該当します。

変動所得に当てはまるのはどんなもの?

「昨年はニート!今年は仕事はじめたからすっごく収入増えたから平均課税つかえるよね!?」と思ったら…残念ながら違います。

事業所得、雑所得のうち、漁獲やのりの採取による所得、はまち、まだい、ひらめ、かき、うなぎ、ほたて貝、真珠、真珠貝の養殖による所得、印税や原稿料、作曲料な
どによる所得をいいます。
漁獲による所得とは、普通にいう漁業の所得よりもその範囲が少し狭く、魚類や貝類、サンゴなどの水産動物を捕獲してそのまま販売したり、簡単な加工をして販売する場合の所得です。したがって、水産動物でないもの、例えば、こんぶ、わかめなどの水産植物の採取による所得や、水産動物であっても、例えば、えび、こい、ますなどの養殖による所得は含まれません。

臨時所得も平均課税の対象です

臨時所得は、事業所得、不動産所得、雑所得のうち、土地や家屋などの不動産、借地権や耕作権など不動産の上に存する権利、船舶、航空機、採石権、鉱業権、漁業権、特許権、実用新案権などを3年以上の期間他人に使用させることにより、一時に受ける権利金や頭金などで、その金額がその契約による使用料の2年分以上であるものの所得等をいいます。

平均課税とは

変動所得(又は臨時所得)があり一定の要件がある場合に選択することができる課税計算の方法です。前年、前々年と比較して大幅に所得が増加したような場合にこの制度を選択することによって急激な税負担率の上昇を抑える効果のある優遇措置となります。

平均課税の適用要件

  • 前年及び前々年において変動所得がある
    ※前年、前々年において平均課税を適用したか否かは問わない
  • 当年の変動所得が総所得金額の20%以上である 

平均課税の計算

(ア)当年の課税総所得金額

(イ)平均課税対象金額
  =当年の変動所得-(前年の変動所得+前々年の変動所得)÷2

※当年の変動所得が前年、前々年の変動所得の平均を超えている部分

(ウ)調整所得金額

①(ア)課税総所得金額-(イ)平均課税対象金額×4/5

              ・・・((ア)>(イ)の場合)

②(ア)課税総所得金額×1/5

                            ・・・((ア)≦(イ)の場合)

(エ)調整所得金額に対する税額
 =(ウ)調整所得金額×超過累進税率による税率及び控除

(オ)平均税率
 =(エ)調整所得金額に対する税額÷(ウ)調整所得金額(小数点第3位切り捨て)

(カ)特別所得金額
 =(ア)課税総所得金額-(ウ)調整所得金額

(キ)特別所得金額に対する税額
 =(カ)特別所得金額×(オ)平均税率

(ク)その年分の課税総所得金額に対する税額
=(エ)調整所得金額に対する税額+(キ)特別所得金額に対する税額
※復興税については省略

平均課税の計算例

上記の計算式は少々複雑で、用語もわかりにくいため具体的な金額をもとに計算例を算出してみます。
 ①当年の課税総所得金額       10,000,000円(全て変動所得とする)
 ②前年の変動所得                  3,000,000円
 ③前々年の変動所得              1,000,000円
以上の金額とした場合

(ア)10,000,000円

(イ)10,000,000円-(3,000,000円+1,000,000円)÷2=8,000,000円

(ウ)10,000,000円-8,000,000円×4/5=3,600,000円

(エ)3,600,000円×20%-427,500円=292,500円

(オ)292,500円÷3,600,000円=0.08125⇒0.08

(カ)10,000,000円-3,600,000円=6,400,000円

(キ)6,400,000円×0.08=512,000円

(ク)292,500円+512,000円=804,500円

このような計算結果となります。
比較の為通常の所得税額計算を行うと
10,000,000円×33%-1,536,000円=1,764,000円

であるため本具体例であれば所得税額を半分以下に抑えることができることがわかります。

住民税への影響について

平均課税の計算を行うことによって所得税額が大きく変わってくる可能性もあることから、同様に住民税への影響について考えてみます。
結論は住民税については影響はございません。なぜならば住民税は所得税とは違い住民税の税率が概ね10%で一律に課税され平均課税という概念が存在しないためです。

まとめ!!

  • 印税、原稿料は変動所得に該当する
  • 変動所得が連続して発生し、所得が増加傾向にある場合には平均課税の適用が考えられる。
  • 平均課税を適用することにより所得税額を半分以下に抑えられることがある。
  • 住民税については影響しない

変動所得と平均課税のまとめ

今回は変動所得と平均課税についてお話させていただきました。平均課税はその計算式が複雑かつ制度を利用せずに申告をしてしまうと後戻りができずに税額が確定してしまうという側面がございます。適用判断や税額計算のご相談があれば是非税理士法人YFPクレアへ。

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