令和9年度まで延長!地域未来投資促進税制や企業版ふるさと納税の変更点を解説
衆議院が少数与党となった昨今、野党が躍進し、物議を醸した税制改正も、あっさりと閣議決定で決定しました。
地域未来投資促進税制の拡充と延長
地域経済の活性化を目的とした「地域未来投資促進税制」が、令和9年度末まで3年間延長されることになりました。さらに、新たな措置として、特に成長が期待される分野で10億円以上の設備投資を行う企業に対する支援が強化されます。これにより、地域経済の発展を後押しすることが期待されます。
企業版ふるさと納税の変更点と延長
企業が地方創生のために寄付を行う「企業版ふるさと納税」も、令和9年度まで3年間延長されます。今回の改正では、寄付を活用する自治体(認定地方公共団体)に対し、以下の義務が追加されました。
- 寄付を活用した事業が適切に実施されていることを確認し、書面で内閣総理大臣へ報告する。
- 事業完了時および各会計年度終了時に報告を行う。
この改正により、企業の寄付がより透明性を持って活用される仕組みが強化されます。
非適格合併による資産移転の会計処理の見直し
非適格合併等によって移転された資産の評価や会計処理に関して、以下の点が明確化・適正化されます。
- 調整勘定の算定方法の明確化
- 資産と負債の価値が等しく、対価がない場合の調整勘定の算出方法を明確にする。
- 対価省略型の非適格合併の処理適正化
- 移転資産が資産超過であり、適正な資産評定を行っていない場合の処理方法を見直す。
これにより、合併による資産移転の税務処理が明確になり、適正な会計処理が求められるようになります。
スピンオフ(株式分配)の税務処理の見直し
企業のスピンオフ(株式分配)を円滑に行うため、株式の譲渡損益計算の基準となる「対応帳簿価額」の計算方法が変更されます。
具体的には、株式分配の直前に所有していた株式の帳簿価額に乗ずる割合の計算において、簿価修正相当額を加減算する方法を導入します。この見直しは、分割型分割にも適用されます。
リース会計基準の変更に伴う税務処理の改正
リース取引に関する会計基準の変更に対応するため、法人税の取り扱いが改正されます。
- オペレーティング・リースの損金算入
- 事業年度ごとに支払うリース料のうち、確定した部分を損金として算入可能。
- リース譲渡に係る特例の廃止と経過措置
- 令和7年4月1日以前のリース譲渡について、延払基準の方法で収益・費用計算が可能。
- 令和7年4月1日~令和9年3月31日の間に延払基準の適用をやめた場合、繰延リース利益額を5年均等で収益計上。
- 所有権移転外リースの減価償却の見直し
- 令和9年4月1日以降に契約されたリース資産について、減価償却時に残価保証額を控除しない。
- リース期間終了時に1円(備忘価額)まで償却可能。
これにより、リース会計の税務処理がより明確になり、企業の会計基準との整合性が取れる形となります。