皆さん、こんにちは。
税理士法人のただの給与所得者、越尾です。役員給与なんて人生に1度ももらったことがないのですが、そう思っていたのに、知らない間にもらっていた…というという事例もあるんですよ。
ちょっとホラー?実はそんな事があったりするんです!
実際にあった例
医療法人の理事長の父が、妻、長男、次男に役員報酬や給与手当や顧問料を出していました。
妻は専業主婦、長男はお医者さんですが、別の病院に勤務、次男は一般的な社会人です。
税務署長は、税務調査の結果、仮装給与であり、理事長である父に支給された役員給与である…として、重加算税賦課決定しました。
親族の役員報酬の注意点!!
結論:働いていない親族への役員報酬・給与は、税務調査で否認されます!
特に危険:勤務実態の記録がない/報酬額が相場より高い/口座管理を本人がしていない
対策:業務内容・勤務時間・成果物・報酬決定根拠を残す
迷ったら:支給前に税理士へ相談(後から直すほど高くつきやすい)
なんで?なにがあって重加算税?
では、なんで重加算税になったのか、解説しましょう!
労働の根拠がない!!
税務調査を行った結果、妻と次男は当医療法人でお仕事をしていないことが判明しました!
妻は専業主婦で、そもそも医療法人でお仕事はしていなかったのにもかかわらず役員報酬がでていました。最初は妻も口裏を合わせていましたが、タイムカードなどの時間の記録、日報や週報等も含めた業務の記録もなく、院内の業務分担表等にも妻の名前がないことから、労働の実態がないことが判明しました。
勤務の実態があるかどうか…は一緒に働いている従業員にも「社長の奥さんってどんな方ですか?」と聞かれたり、奥さんがトイレの場所や詳細を知らなかったり…など、関係ないと思いがちなところで根拠を掴まれていきます。

奥様のお席はどちらですか?え?席がない?
本当にお仕事しているんですか?
次男は一般的な企業に勤めていましたが、コンサルタント顧問料として支払われていました。契約書等々や報告書やレポートなどの成果物もなく、コンサルタント業務をした形跡もありませんでした。
そもそも仕事をしていない人に報酬は支払って良いモノではありません。
実際に労働をしているかどうか…も、税務調査では見られるポイントです。
給与が妥当な金額ではなかった
長男は医師なので、当医療法人でも医師として患者の情報に接したり、理事長の父と一緒に回診をすることもあったけれども、仕事量に対して給与・報酬が見合っていませんでした。その報酬額が市場とは大きく乖離したものでした。
親族だからといって、給与を増やしてしまうのは絶対ダメ。
赤の他人を雇った場合を想定してこの仕事量・内容ならこの金額が妥当…と誰が見ても言えないと税務調査では否認されます。求人広告等を見て、市場価格を確認しましょう!
口座の持ち主が実際には理事長である父親だった
役員報酬、給与、顧問料はそれぞれ妻、長男、次男の銀行口座に振り込まれていましたが、通帳や印鑑、キャッシュカードは全て理事長の父が保管していることがわかりました。
結果「父の報酬だよね?」はい、税の三重苦!
これらから、実態は父の報酬だ…と結論づけられ、仮装給与!悪質!ということで重加算税という結果になりました。
しかも、理事長の父の給与とみなされたので、父は妻・長男・次男に払っていた金額分にも所得税・住民税・社会保険料が加算されます。
その上、妻・長男・次男に払っていた金額は父の役員報酬となりますが、妻・長男・次男分の役員報酬は事前に届出も出してないですし、定期同額給与、事前確定届出給与、業績連動給与には該当しません。ということは、損金不算入になりまして、法人税が高くなります。
その上、その高くなった法人税に今回の悪事の罰として、重加算税(35%)が加算され、延滞税もプラスされます。
見事な三重苦になります。
社会的信用も失うかも
残念ながら、重加算税を支払うと、それも帳簿に記載されることになります。次、銀行で融資を受けようと思ったときに、その重加算税が課された形跡を銀行員が見たらどう思うでしょうか?
税務調査の結果、重加算税を課された…とわかったら、取引先も警戒するのではないでしょうか?場合によっては取引をやめる可能性もあります。
では、親族を役員として雇うにはどうするべき?
税務署は社長親族とのお金のやり取りは特に厳しめにチェックをします。
従業員として雇うのも、外注先とするのも両方かなり厳しいと思っていた方がいいです。では、親族を雇えないか…というとそうでもなく、「親族でも他人でも関係なく、その人の能力や仕事の負担などの業務内容をもとに市場価格で報酬を決める」というのが大事です。
そして、本来、普通に仕事をしていれば、仕事の形跡はあっちこっちに残るかと思います。事務の仕事ならパソコンにログイン記録や作業内容が残ったり、日報やメール、チャットなどやり取りが自然と残ります。
電話を受けたらメモを取ったりして、電話番号や電話内容がメモで残りますよね。こういうもの全部が積み重なって、勤務実態があると判断されます。
なので、役員なので敢えて何か報告書を作るとかいうよりも、日々の仕事の痕跡をほかの従業員が残せているなら、同じようにきちんと残していく…を継続するので大丈夫です。ほかの人と一緒!というのが大事です。
【まとめ】親族への報酬は従業員と同じか少し厳しいくらいでちょうどいい
今回のように最初から隠すつもりで親族への報酬を出している例もあれば、最初は仕事をしてくれていたけど、家庭の事情が変わったりして、同じ仕事をできなくなってしまうこともあるでしょう。
そこでなぁなぁにしてしまっては経営者として失格です。
公私はしっかり分けて、仕事では、経営者として仕事を休んだのが妻子であっても、従業員と同じく仕事してない分は給与を支払わない等のそれ相応の対処をきっちりしましょう。
一方で、仕事を休む理由が体調不良ならば、プライベートではおかゆを作ったり病院に連れて行ったりする良き父・家族でいましょう。
そうやって公私をきっちり分けることが、会社も家族も守ることになります。

