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交際費とは?定義から税務対策まで徹底解説!企業経費の正しい管理法

勘定科目の解説

「交際費」。企業活動において取引先や顧客との信頼関係を築き、ビジネスを円滑に進めるために欠かせない経費です。
しかし、その管理には細かなルールがあり、適切に分類しなければ税務上のリスクを招く可能性があります。

このコラムでは、交際費の基本的な定義や税務上の取り扱い、他の経費との違いを徹底的に解説し、企業が健全な経費管理を行うためのポイントをお伝えします。
これから交際費の管理を始める方にも、すでに取り組んでいる方にも役立つ情報をお届けします。

はじめに

それではまずは、「交際費とはどのような経費か」から見ていきましょう。

交際費とは何か?

交際費とは、企業や個人事業主が事業活動の一環として、取引先や顧客、関係者との関係を円滑にするために支出する費用を指します。
具体的には、取引先との飲食費や贈答品、接待や接待に伴うイベント費用などが交際費に該当します。

交際費は、ビジネスを円滑に進めるために欠かせない経費と考えられます。

交際費の重要性と注意点

交際費の重要性

交際費は、企業のビジネス活動において非常に重要な役割を果たします。具体的には、以下のような点でその重要性が際立ちます。

  1. ビジネス関係の強化
    交際費を通じて、取引先や顧客との信頼関係を深めることができます。例えば、取引先との定期的な会食や贈答品の贈呈は、良好な関係を維持し、ビジネスチャンスを広げるために効果的です。
  2. 取引の円滑化
    新規取引の開始や既存取引の継続において、交際費は交渉を円滑に進めるための重要な手段となります。ビジネスの場での親睦を図ることで、互いの信頼感が高まり、取引条件の調整がスムーズになります。
  3. 競争力の向上
    業界内での競争が激しい場合、交際費をうまく活用することで、競合他社との差別化が図れます。取引先や顧客との特別な関係を築くことで、ビジネスの優位性を保つことができます。

交際費の注意点

交際費は有効なビジネス手段である一方で、その使用には注意が必要です。
以下は、交際費を適切に管理するための主要な注意点です。

  1. 税務上の制限
  2. 経費の正確な分類
  3. 証拠書類の保存
  4. 無駄遣いの防止
  5. 社内監査の強化

交際費の定義と範囲

交際費の定義

交際費とは、企業や個人事業主が事業活動の一環として、取引先や顧客、関係者との良好な関係を築き、維持するために支出する費用を指します。
具体的には、接待、贈答、歓待、接遇など、取引先や顧客との関係強化を目的としたさまざまな費用が交際費に該当します。

交際費は、企業のビジネス関係を円滑にし、取引の拡大や安定を図るために重要な役割を果たしますが、その一方で税務上の制限や管理が必要となる経費でもあります。

交際費として認められる費用の範囲

  1. 取引先との飲食費
    例: 取引先との会食や接待にかかる飲食費。
    範囲: 接待の場として行われる食事会や飲み会の費用が該当します。取引先との会話を通じてビジネス関係を強化する目的が明確であることが条件です。
  2. 贈答品や手土産
    例: 年末年始の挨拶や取引成立時に贈るギフト。
    範囲: 取引先や顧客に対して贈られる贈答品や手土産が交際費に含まれます。季節の挨拶やビジネス上の節目で贈られる物品などが該当します。
  3. 接待費
    例: ゴルフコンペ、コンサート、スポーツ観戦への招待。
    範囲: 取引先との親睦を深めるために行われる娯楽活動やイベントへの招待費用が含まれます。これには、取引先とのゴルフやスポーツ観戦の費用が該当します。
  4. 接待を伴うイベント費用
    例: 取引先や顧客を招待するパーティーやイベントの開催費用。
    範囲: 企業が主催するイベントで、取引先や顧客との関係強化を目的としたものが交際費に含まれます。イベントの趣旨や参加者のリストを明確にしておくことが重要です。

 

交際費に含まれないもの

  1. 社内での飲食費
    社員だけで行われる会食や社内の飲み会などは、交際費ではなく福利厚生費として扱われます。
  2. 会議費
    会議の一環として提供される軽食や飲み物の費用は、会議費として区別されます。
  3. 業務上の接待とは関係のない支出
    プライベートな支出や、業務と無関係な個人的な飲食費などは交際費に含まれません。

交際費とその他の経費の違い

交際費とその他の経費(例えば、福利厚生費や会議費)には、それぞれ異なる目的と定義があり、適用される範囲や税務上の取り扱いも異なります。

  • 目的の違い: 交際費は外部の取引先や顧客との関係強化を目的としていますが、福利厚生費は従業員の福利向上、会議費は業務遂行のための会議に関連する支出です。
  • 適用範囲の違い: 交際費は主に外部の関係者に対して発生する費用に限定されますが、福利厚生費は社内の従業員に対して広く提供される費用です。会議費は、業務上必要な会議に関連する支出に限定されます。
  • 税務上の取り扱い: 交際費は税務上の制限があり、損金算入限度額が設けられているのに対し、福利厚生費や会議費は基本的に損金として全額認められ、税務上の取り扱いが有利です。

交際費と税務の関係

交際費の税務上の取り扱い

交際費の税務上の取り扱いは、企業の損金算入(経費として税務上控除可能な額)において重要な要素となります。交際費は、企業が取引先との関係を強化し、事業活動を円滑に進めるための費用として認められるものの、その範囲や金額には制限が設けられています。

交際費の損金算入限度額

交際費は、一定の限度額まで損金として算入することができますが、企業の規模や業種により、その限度額が異なります。

中小企業(資本金1億円以下の法人)の場合:

  1. 定額控除方式: 年間800万円までの交際費を全額損金に算入できます。
  2. 定率控除方式: 交際費の全額のうち、支出額の90%を損金に算入できます。ただし、この方式は2013年度までに廃止されました。
    ※ 中小企業の場合は、年間800万円を限度額として、交際費を損金算入することができるのが一般的です。

大企業(資本金が1億円を超える法人)の場合:

一般的に、交際費は損金として算入することができません。ただし、飲食に関する交際費のうち、1人あたり5,000円以下の少額接待費については、損金に算入することが可能です。

税務調査で注意すべきポイント

税務調査において、交際費は特に厳しくチェックされる項目の一つです。不適切な交際費の計上は、税務当局によって否認され、追加の税金やペナルティが課される可能性があります。以下に、税務調査で交際費に関して注意すべき主なポイントをまとめます。

  • 証拠書類の保存:
    領収書や明細書を正確に保存。
    支出の目的、取引先の名称、参加者の名前を明記。
  • 経費の正確な分類:
    交際費と福利厚生費や会議費を区別。
  • 業務関連性の証明:
    取引先との関係性や支出の必要性を明確に記録。
  • 少額接待費への注意:
    1人あたり5,000円以下の少額接待費も頻繁に発生する場合は注意。
  • 社内ルールの整備:
    交際費の使用に関する規定を設け、従業員が適切に経費を計上できるようにする。
  • 定期的な内部監査:
    不適切な支出がないかを確認するため、内部監査を実施。
  • 税務調査への準備:
    証拠書類や記録を常に整備し、税務担当者とのコミュニケーションを大切にする。

交際費かどうかの判断基準

交際費として計上できるかどうかを判断するためには、いくつかの基準に従うことが重要です。以下に、交際費かどうかを判断する際の主な基準をまとめました。

  • 支出の目的
    業務上の必要性があり、取引先や顧客との関係強化を目的とした支出であるか。
    社内向けの支出(社員向け飲食費など)は交際費に該当しない。
  • 支出の内容
    取引先との飲食や接待、贈答品や手土産が交際費に該当。
    高額すぎる贈答品や私的な支出は交際費と認められない可能性あり。
  • 支出の範囲
    業務に関連する取引先や顧客に限定され、支出金額が適切であること。
  • 証拠書類の整備
    領収書には支出の目的、取引先名、参加者名などを明記し、関連書類も保管。
  • 税務上の基準
    損金算入限度額内であるか(中小企業は年間800万円まで)。
    大企業でも1人あたり5,000円以下の少額接待費は認められる場合がある。

領収書や証拠書類の保存方法

領収書や証拠書類の保存方法は、交際費が税務上の経費として認められるために非常に重要です。適切に保存することで、税務調査時に支出の正当性を証明しやすくなり、トラブルを避けることができます。
以下に、領収書や証拠書類の保存方法について詳しく説明します。

領収書や証拠書類の保存方法

  1. 領収書の必須項目の確認
    領収書には、以下の情報が明記されている必要があります。
    • 支出の目的: 例)「取引先との会食」など、具体的な支出の目的を記載。
    • 取引先の名称: 支出の相手方となる取引先や顧客の名前。
    • 日付: 支出が発生した日付。
    • 支出金額: 支出した正確な金額。
    • 支出場所: 飲食店やイベント会場など、支出が行われた場所。
    • 参加者の名前: 交際費に関わる参加者全員の名前(取引先、社内の参加者など)。
  2. 領収書の保管方法
    • 紙媒体の保存: 紙の領収書は、破損や紛失を防ぐため、専用のファイルやバインダーにまとめて保管します。整理しやすいように、日付順や取引先別に分類すると良いでしょう。
    • 電子保存: 電子帳簿保存法に基づき、スキャンして電子データとして保存することも認められています。スキャンデータは、原本と同様に閲覧・検索しやすいように整理する必要があります。
  3. 保存期間の遵守
    領収書や証拠書類は、法人税法や所得税法に基づき、原則として7年間保存する必要があります。
    この期間中、税務調査が行われた場合に備えて、すぐに提出できる状態で保管しておくことが重要です。
  4. 証拠書類の保管
    • 関連書類の保存: 領収書以外の証拠書類(例:取引先との契約書、議事録、取引メールなど)も合わせて保存します。これらの書類は、交際費が業務に関連していることを証明するために役立ちます。
    • 電子メールやデジタル文書の保存: デジタル形式の証拠書類も、適切に保存することが必要です。データが失われないよう、クラウドストレージや社内サーバーにバックアップを取っておくと良いでしょう。
  5. 定期的なチェックと整理
    領収書や証拠書類が適切に保存されているか、定期的に確認し整理します。
    保存状態を確認することで、万が一の紛失や劣化に備えることができます。
  6. 社内の保存ルールの明確化
    社内で領収書や証拠書類の保存に関するルールを整備し、全社員に周知徹底します。
    領収書の受領方法や記載内容についてのガイドラインを作成し、従業員が確実に従うよう指導します。

交際費と性質が似ている経費とその区別

交際費は、似た性質の経費と区別することが重要です。
これらの経費はそれぞれ異なる目的と対象者に対する支出であり、税務上の取り扱いが異なるため、適切に区分することで税務リスクを回避し、経費管理を正確に行うことができます。
以下に、似た性質の経費についてまとめました。

会議費

  • 類似点
    会議費も、飲食費が含まれることがあるため、交際費と混同されやすいです。特に、取引先を交えた会議の場合、会議後の食事が交際費か会議費かの判断が難しくなることがあります。
  • 違い
    会議費は社内外を問わず、業務に関する会議や打ち合わせにかかる費用です。会議中に提供される軽食や飲み物、会議室のレンタル費用がこれに該当します。会議の一環として行われる飲食は、交際費ではなく会議費として扱われます。
  • 税務上の扱い
    会議費は、税務上、損金として全額認められやすく、交際費よりも税務上の取り扱いが有利です。
  • 区別のポイン
    会議が主目的であり、飲食がその付随である場合は会議費。会議後の食事や懇親会が主目的である場合は交際費として計上する必要があります。

広告宣伝費

  • 類似点
    広告宣伝費も、取引先や顧客に対して行われる贈答やイベントの費用が含まれることがあり、交際費と混同されやすいです。
  • 違い
    広告宣伝費は商品やサービスの販売促進を目的とした費用です。取引先や顧客に対する商品サンプルの提供、キャンペーンの景品、広告媒体への掲載料などが含まれます。
  • 税務上の扱い
    広告宣伝費は、損金として全額認められるケースが多く、交際費とは異なり、限度額が設定されていません。
  • 区別のポイント
    販促やブランディングを目的とした支出は広告宣伝費として扱います。個別の取引関係を強化するための接待や贈答は交際費です。

福利厚生費

  • 類似点
    福利厚生費は、従業員を対象とした飲食やレクリエーションの費用が含まれるため、交際費と似ています。従業員向けのイベントで、取引先も招待される場合など、どちらに計上すべきか迷うことがあります。
  • 違い
    福利厚生費は従業員の福利厚生や満足度向上を目的とした費用です。社員旅行、社内行事、健康診断の費用などがこれに該当します。
  • 税務上の扱い
    福利厚生費は従業員全員に公平に提供される場合、全額が損金として認められるため、交際費とは異なり税務上有利です。
  • 区別のポイント
    従業員向けの支出であれば福利厚生費として計上します。取引先を対象にした飲食や贈答は交際費となります。

接待費

  • 類似点
    接待費は交際費の一部と考えられることもありますが、特定の接待活動にかかる費用であり、交際費の中でも特に目的が明確です。
  • 違い
    接待費は取引先や顧客をもてなすための費用で、飲食費や娯楽費が中心となります。ゴルフやスポーツ観戦の費用もこれに含まれます。
  • 税務上の扱い
    接待費は交際費の一部として扱われるため、交際費の損金算入限度額の範囲内で処理されます。
  • 区別のポイント
    接待費は交際費の一部ですが、特に取引先とのビジネス関係を強化する目的が明確な支出として区別されます。

まとめ

  • 交際費はビジネス関係の強化や取引の円滑化に貢献し、取引先や顧客との信頼関係を築くために使用される。
  • 業務上の必要性と合理性が求められるが、取引先との飲食費、贈答品、接待費用などが接待費として経費にできる。
  • 領収書に必要な情報を明記した証拠書類の保存が重要。
  • また、税務上の注意点として損金算入限度額の遵守が必要。
  • 似た性質の経費との区別をつけ、正しく計上しよう。
  • 従業員が正確に経費を分類・計上できるように社内ルールを整備する。
  • 証拠書類や記録を適切に保存し、税務リスクを回避。
  • 交際費の管理を徹底し、ビジネスの成長に活用する。

おわりに

交際費は企業活動において欠かせない要素ですが、その管理には細心の注意が求められます。適切な分類と証拠書類の整備を通じて、税務リスクを回避し、経費を有効に活用することが可能です。
交際費の正しい運用は、ビジネスの成長を支える重要な基盤となります。

これからも、適切な交際費管理を心がけ、健全な企業運営を目指していきましょう。

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