こんにちは。ウェブ制作・ウェブ開発会社って、外注(業務委託)が多いのが普通ですよね。
デザイン、コーディング、実装、保守、SEO、広告運用、動画編集…案件ごとに最適なチームを組むのが当たり前。
でも、その「当たり前」が 税務の世界では“疑われやすい地雷”にもなります。
理由はシンプルで、外注は お金が外に出ていくうえに、成果物がデータ中心で「証拠が残りにくい」から。
そのうえ、IT系は税務調査が多いのも特徴です!売上が上がりやすく、経費が少ない傾向があり、その結果、怪しいお金の動きをしてしまったりすると税務調査が来ることになります。
この記事では、外注比率が高い会社ほどハマりやすい 「架空外注費」リスクを、ウェブ業向けにまるっと整理します。
(※脱税指南ではありません。“やっちゃダメ”の注意喚起&守り方です。)
目次
架空外注費とは?何がアウトなのか
ざっくり言うと、法人税は
売上 − 経費 = 利益(所得) → ここに税率をかける
という構造です。
そこで 実態のない外注費(業務委託費)を入れて利益を減らすと、税金を不当に減らせてしまう。これが「架空外注費型」の脱税です。
ポイント
- 外注費が多い=即アウトではない
- アウトなのは、「実態がない」「私用の混在」「証拠が薄すぎて説明不能」なもの
ウェブ業界あるあるに置き換えると、危ないのはだいたい次のパターンです。
典型パターン(ウェブ業版)
- 請求書はあるけど成果物がない(ソースもデザインも、修正履歴も、指示もない)
- 名義だけの外注先(実際は作業していない/稼働実態が薄い)
- “コンサル料”“相談料”がふわっとしすぎ(議事録ゼロ、提案書ゼロ、数値根拠ゼロ)
- 外注費に私的支出が混ざる(ガジェット・飲食・旅行などを「制作協力費」扱い…アウト寄り)
- 未払金を積んでるだけ(後で払う前提が崩れているのに、毎期残高が増える)
なぜウェブ制作・開発会社は疑われやすいのか(業界特性)
税務署(国税側)は 帳簿・証憑・お金の流れを見ています。
そして、税務調査先の選定は「異常値」がきっかけになりやすい、とされています。たとえば、
- 売上が急に伸びた/利益率が不自然に落ちた
- 同規模同業と比べて 外注費・広告宣伝費・交際費が大きい
- 未払金が多い、残高が毎期積み上がる
- 現金取引が多い、個人と法人のお金が混ざりやすい
- 消費税の整合が取りづらい
この “同業比較+急変” は、外注比率が高いウェブ業界に刺さりやすいんですよね。
特に、IT系は売上が爆増するケースが多く、急に売上が上がると多くの経営者は「納税どうしよう」と考え始めるケースが多く、その結果、悪事に身を染めてしまう…というケースが多いことからIT系で売上爆増すると税務調査がつきものです。
さらに、税務調査の対象選定に関連して語られることが多いのが KSK(国税総合管理システム)です。
一般向け解説でも「全国の国税局・税務署をネットワークでつなぎ、情報を管理するシステム」と説明されています。
1)外注先が「実在」していて「稼働」しているか
税務側がまず見るのはここ。
「その外注先は本当に存在する?」「誰が作業した?」「スキルや稼働は妥当?」といった観点で確認されます。
ウェブ業、IT業界だと特に
- 住所・連絡先・Webサイト・法人番号(法人なら)
- 担当者名、体制、役割
- 業務に見合う経歴・実績
…が薄いと一気にしんどいです。
2)仕事の「証拠」が残っているか
「本当に仕事をしたなら証拠が残っているはず!」
代表例として、契約書・発注書/請求書・納品物・連絡履歴が挙げられています。
ウェブ制作・開発なら、証拠はむしろ作りやすいです
- Git(コミット、PR、ブランチ、Releaseノート)
- Figma(リンク、バージョン、コメント履歴)
- Backlog/Jira/Notion(チケット、工数、完了条件)
- Slack/Chatwork/メール(指示・修正依頼・納期調整)
- 納品物(ZIP、URL、レポート、設定手順書)
3)単価・頻度が相場感からズレてないか
- 毎月定額なのに成果物が薄い
- 同じ名目・同じ金額が並ぶ
- 「一式」ばかりで内訳がない
こういうのは“説明の難易度”が跳ね上がります。
4)未払金が積み上がっていないか
前述の「異常」にも出てきますが、未払金が積み上がるのは目立ちます。
試算表などを見ていて、ご自身でも「なんでここがこんなに大きいんだろう…」と思う勘定科目はありませんか?
5)消費税も絡んで破綻しやすい
外注費は消費税の「仕入税額控除」にも影響します。
請求書の体裁や区分、課税/非課税、インボイスの整理が崩れていると、説明負荷が増えます(ここは会社の状況で変わるので、個別確認推奨)。
外注が多い会社の「守りの3点セット」
外注は悪ではない。弱いのは“証拠の薄さ”。
なので、守りはシンプルにこの3つです。
| セット | 目的 | ウェブ業での具体例 |
|---|---|---|
| ① 契約(発注の証拠) | 何を、いくらで、どこまでやるか | 基本契約+個別発注書、業務範囲、成果物、検収、支払条件 |
| ② 仕事の証拠(成果物+作業痕跡) | “やった”を説明できる状態に | Figma/Git/チケット/議事録/修正履歴/納品データ |
| ③ 支払の証拠(お金の流れ) | 誰にいくら払ったか | 原則振込、振込明細、請求書、支払予定表 |
身内に依頼する場合はさらに厳しめに!
身内への外注も税務署は血眼になって調査してきます。
報酬は依頼する内容に対して市場と同等か、成果物は本当にあるのか、仕事した実態はあるのか…などを厳しく調査されます。
身内の場合は、報酬と仕事の実態が見合うかどうかがチェックポイントです。
必ず報酬に見合った仕事を意識しましょう。
税務調査が来たらどうする?(やること・やらないこと)
やらないこと:調査直前の“証拠の後付け”
前述のとおり、後から作った資料は作成日時などで見抜かれる可能性がある、という注意があります。
なので、普段から契約書など形で残すこと!!
やること:社内で“案件単位”に説明できる状態にする
「この外注は、何の案件で、誰が、何をして、何が納品され、いくら払ったか」
これが案件単位で言えれば、かなり安心です。
なお:質問・検査を正当な理由なく拒否すると罰則の規定がある
国税通則法の罰則(第128条)には、当該職員の質問検査権に関する拒否等について 「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」が定められています。
(もちろん、実務では顧問税理士を通じて整理しつつ対応するのが基本です。)
調査によってはパソコンもチェックされます
税務調査では、成果物がパソコンの中にあることも多いので、パソコンもチェックされます。怪しい場合は押収される可能性もあります。
近年の税務調査に関する報道を見ていると、パソコンを押収して証拠を見つけるケースも多く、弊社での立ち合いでも契約書が作られた日時が契約開始時よりだいぶ後だった…という事例もありました。
まとめ:外注が多い会社ほど、勝ち筋は「透明性」です
外注比率が高いこと自体は、ウェブ制作・開発会社のビジネスモデル上、ふつうのことです。そして、ウェブ開発を含むIT系は税務調査が多い業種だということを念頭にいれておきましょう!そのうえで、税務は 帳簿・証憑・お金の流れで判断します。
だからこそ、
- 外注先の実在・稼働が説明できる
- 契約・成果物・連絡履歴が残っている
- 未払金など“異常値”が積み上がらない
この3つを押さえるだけで、「疑われない強さ」が一気に上がります。







