今回の案件はウェブとは関係がない製造業の脱税ではありますが、税務署が目を光らせているIT系もぜひ気をつけて欲しいと思いまして、記載させて頂きます!
エンジン部品製造会社を9700万円脱税の疑いで告発
大阪国税局は2月12日、賞与を水増し計上するなどの方法により法人税など約9700万円を脱税したとして、エンジン部品製造会社の㈱中瀬製作所(大阪市東成区)及び同社代表取締役の藤本宗正氏(同)を法人税法違反などの疑いで大阪地検に告発したと発表した。告発は令和6年11月29日付。
同社と藤本氏は、法人税及び地方法人税の確定申告において、賞与を水増しして従業員に支払い、キックバックを得ていたとのこと。計4年3月期及び5年3月期の所得約3億8100万円を秘匿し、法人税及び地方法人税約9700万円を免れた(過少申告ほ脱犯)。
1. どうして脱税はバレるのか?
企業が税務調査で脱税を指摘される理由の一つに、通常の経理処理とは異なる不自然な動きが見つかることがあります。本件のように、賞与を水増し計上し、その後キックバック(還流)させる手法は、以下のような点で発覚しやすくなります。
- 従業員の税務申告との不整合:賞与を受け取った従業員が税務申告をする際に、実際には受け取っていない金額が申告されると、不自然な給与額が浮かび上がります。
- 銀行取引の履歴:賞与の支給後、従業員から代表者に資金が戻される場合、金融機関の取引履歴を追跡されることで明るみに出ます。
- 内部告発:このような不正行為は、従業員や関係者が不信感を抱き、税務署へ情報提供することが少なくありません。特に今回のように、従業員に悪事の片棒を担がせていると内部告発を引き起こします。
- 税務調査の重点対象:特定の業界や企業規模によっては、税務署が不正の兆候を見つけると重点的に調査を行うことがあります。
2. 何がいけないのか
本件では、㈱中瀬製作所が賞与を水増し計上し、その一部をキックバックすることで、代表が個人的なブランド品や貴金属を購入する資金を作っていました。この手法は以下の理由で問題となります。
- 法人税の脱税:水増しされた賞与分が経費として計上されることで、法人税の負担が軽減され、本来納めるべき税額を免れています。
- 個人資産の不正蓄積:代表が個人的な贅沢品を会社の利益から捻出する行為は、法人と個人の区別を曖昧にし、租税回避行為として見なされます。
- 従業員の関与リスク:このようなスキームに従業員が関与させられることで、企業全体の信頼性が損なわれるだけでなく、従業員自身も犯罪行為に巻き込まれる可能性があります。
3. 企業経営者が気をつけるべきポイント
企業の健全な経営のためには、税法を遵守することが不可欠です。特に以下の点に注意することで、不正リスクを避けることができます。
- 法人と個人の資金を厳格に分ける:会社の資産を代表者個人の目的で使用しないよう、明確な線引きを行う。
- 適切な給与・賞与の支給:架空の経費計上や水増しを行わず、正しい会計処理を行う。
- 税務の専門家に相談する:税務リスクを未然に防ぐために、税理士などの専門家と連携し、適切な税務戦略を構築する。
不正は短期的な利益を生むかもしれませんが、発覚した際のダメージは計り知れません。企業経営者として、適正な会計処理を心掛け、持続可能な成長を目指すことが重要です。