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消費税申告の落とし穴:1000万円の壁を軽く見た結果【税務調査】

税務調査

こんにちは、税理士法人YFPクレア フルクラウド担当の越尾です。

さて、フリーランスの皆さんにとって、消費税ってなるべく払いたくない!と思っている方も多いのではないでしょうか?もはや消費税も売上の一部!みたいに思っている方もいらっしゃるかもしれません。

税務調査についてのコラムを書く際、税務調査が入りやすい会社の状況として、「売上1,000万円を超えそうで超えない…を数年間繰り返している」というのが入ってくることがあります。

今日はそんな会社に実際に税務調査が入った事案を紹介しましょう!

事案の概要

請求人(個人事業主)は電気通信工事業を営んでおり、事業で得た売上代金を特定の預金口座で管理していました。手形で受け取った売上も同じ口座で処理していました。

  1. 平成23年10月4日:売上が年間1,000万円を超えると判断し、「課税事業者届出書」を税務署に提出。
  2. 平成23年12月16日:「簡易課税届出書」を提出。
  3. 平成25年3月29日:売上が1,000万円以下になったため、「免税事業者届出書」を提出。

その後、所得税に関する申告は期限内に行っていましたが、平成27年から令和3年までの消費税の確定申告は一切行いませんでした

争点は、請求人が消費税申告義務を免れるために意図的に売上を隠したり、不正に少なく見せかけたかどうかです。


請求人の主張

請求人は、以下のように主張しています。

  1. 消費税を申告しなかったのは、意図的ではなく単なる無申告である。
  2. 売上や経費の金額に根拠がなかったとしても、隠蔽や仮装行為ではなく、特段の違反行為とは言えない。

つまり、消費税を払いたくないから、わざと売上を少なくしてみせてたわけじゃなくて、ついウッカリなんです!隠蔽や仮装行為など悪事を働いたわけじゃないんです!と主張しています。


審判所の判断

請求人は平成19年以降、税理士に依頼せず自分で申告書を作成しており、免税事業者になる手続きなどもしていました。その時点で、自らの経験から以下を理解していたと認められます。

  • 年間売上が1,000万円以下の場合、消費税を納める義務がないこと。
  • 売上金額は、預金通帳を確認することで簡単に把握できること。

しかし、請求人は以下のような行動を取っていました。

  1. 売上が実際には1,000万円を超えていると知りながら、将来への不安(例えば配偶者の収入減少)を理由に、納税義務を逃れるための対策を取った。
  2. 9年間にわたり、確定申告書や収支内訳書で売上を意図的に1,000万円以下と記載。実際の金額より少なく申告していました。

さらに、調査中に「売上が1,000万円を超えると消費税の申告が必要になるため、それを避けようとした」と自ら認めています。

これらの行動から、審判所は以下の結論を出しました

  • 請求人は、故意に売上を少なく見せかけ、免税事業者であるよう装い続けた
  • これにより、消費税の確定申告義務を回避しようとする意図が明らかである。

と、結論づけられました。

まとめ!!

今回の事案は、消費税の申告義務を意図的に回避した疑いが審査されたケースです。この事例から、フリーランスの方が学ぶべき教訓があります。

まず、消費税の基準売上高に注意することが重要です。売上が1,000万円を超える場合、免税事業者ではなくなり、消費税の申告義務が発生します。「納税が嫌だから」と売上を偽って記載するのは絶対にダメ!!そんな行為は必ず発覚し、後々大きな問題に発展する可能性があります。

次に、適切な記帳と専門家のサポートを活用することも欠かせません。預金通帳や帳簿を正確に管理し、必要に応じて税理士や専門家に依頼することで、トラブルを未然に防ぐことができます。悪事に手を染めてしまえば、社会的信用を失うだけでなく、事業の存続そのものが危うくなります。

また、法律や手続きに対する理解を深めることも大切です。税制や法律の仕組みを正しく理解しておけば、知らないうちに違反を犯してしまうリスクを減らせます。「少しぐらいなら…」というキモチが湧き上がってきた場合は、早めに専門家の意見を聞くべきです。特に、売上が1,000万円直前を行き来している事業主は、税務署にしっかり監視されている可能性もあることを覚えておきましょう。

繰り返しになりますが、税務問題は、事業者としての信用を失うだけでなく、延滞税や過少申告加算税のほか、悪質だと認められれば重加算税のリスクもあります。法律を守り、適切な対応を心がけることで、安心して事業を運営し続けましょう!

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