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SE・プログラマー向け確定申告ガイド~青色と白色、どちらを選ぶべき?~

みなさんこんにちは、YFPフルクラウドの石川です。
今回は、システムエンジニアやプログラマーの方向けに、確定申告の「青色申告」と「白色申告」の違いを徹底解説しました。
ぜひご自身と照らし合わせて参考になさってください。

確定申告の概要

システムエンジニアやプログラマーとしてフリーランスで働く場合、確定申告は避けて通れない重要な手続きです。
会社員であれば年末調整で処理される税金も、フリーランスでは自分自身で収入や経費を計算し、税務署に申告する必要があります。

特に、プロジェクトごとに収入が変動したり、技術的な設備投資が必要なことが多いエンジニアには、適切な申告方法を選ぶことで大きな節税効果が得られます。

青色申告と白色申告の違いをエンジニア視点で比較

システムエンジニアやプログラマーにとって、青色申告と白色申告のどちらを選ぶかは重要な決断です。それぞれの特徴を理解し、事業の状況に応じて最適な申告方法を選びましょう。

白色申告

まず、白色申告はシンプルで簡単な申告方法です。
単式簿記での記帳が可能なため、簿記の知識が少なくても対応できます。
開業直後や収入がまだ少ないエンジニアにとって、手軽に始められる選択肢です。

しかし、白色申告には青色申告のような特別控除や税制優遇が少なく、特に高額な設備投資や技術ツールの購入が多いエンジニアにとっては、節税効果が少ない点がデメリットです。

青色申告

一方、青色申告は節税効果が高い申告方法です。
青色申告では、最大65万円の控除を受けることができ、パソコンやソフトウェア、技術的な機材の購入を経費として計上することで、税額が大幅に減少します。
また、エンジニアの仕事はプロジェクト単位で収入が変動することが多く、ある年は赤字になってしまう場合もありますが、青色申告ならその赤字を翌年以降の利益と相殺することができます。
複式簿記での帳簿管理が必要な点は手間がかかりますが、会計ソフトを使えば業務効率化が可能ですので、思い切って見るのもありでしょう。

違いまとめ

それでは、それぞれの方法について、違いを分かりやすくまとめてみましょう。

青色申告白色申告
対象者不動産所得・事業所得・山林所得があり、青色申告の承認を受けた人青色申告の承認を受けていない人
税制承認されれば優遇措置がある申告納税制度青色の承認がない人が行う申告納税制度
申請開業届と共に「青色申告承認申請書」の提出が必要なし
提出書類・確定申告書B
・青色申告決算書
・貸借対照表、損益計算書
・第三表
・第四表
・確定申告書B
・収支内訳書
保存帳簿・総勘定帳
・仕訳帳
・現金出納帳
・売掛帳
・買掛帳
・固定資産台帳
・法定帳簿
・任意帳簿
記帳方法複式簿記
(簡易でも受けられる場合あり)
簡易(単式)簿記
特別控除額最大65万円なし
不動産所得要件アパート10室以上、貸家5棟以上
など要件あり
なし

表にしてまとめると、おおよそこの通りです。今度は、もう少し内容を詳しく見ていきましょう。

対象者の違い

  • 青色申告:不動産所得、事業所得、山林所得があり、青色申告の承認を受けた人
  • 白色申告:青色申告の承認を受けていない人

白色申告は基本的(原則的)な申告方法なので、青色申告の承認がなく申告が必要な人は、すべて白色申告になります。

事前申請の違い

では、青色申告の承認を受けるにはどうすればいいのでしょうか。
ここで大きな違いとなるのが、「事前申請の必要性」です。
青色申告の承認を受けるには、青色申告の対象となる年の3/15までに「青色申告承認申請書」の提出が必要です。(2024年分の申告から青色にしたい場合は、2024年3月15日までに提出)

新たに事業を開始した場合や、相続によって申請が必要になった場合など、期限が異なる場合もありますので、しっかり確認した上で申請を行いましょう。

参考サイト:国税庁公式HP「青色申告制度 手続き」

税制優遇措置と記帳方法の違い

青色申告には、いくつかの税制優遇があります。代表的なもので「最大65万円の特別控除」や「赤字の3年間繰り越し」などです。
白色申告にはこのような特別な優遇措置はありません。しかし、一律で受けられる控除はあります。

こういった特別な措置を受けるため、一定の要件を満たす必要があります。その要件のうちの一つが、「記帳方法」です。
白色申告において、記帳方法は簡易な方法(単式簿記と呼ばれるもの)で問題ありません。一つの取引について一つの勘定科目で記録する方法で、お小遣い帳のようなものを想像していただければ十分な方法です。

しかし、青色申告においては、複式簿記という方法で記帳していく必要があります。
複式簿記は、一つの取引について二つの勘定科目で記録する方法です。
主に仕訳帳と総勘定元帳に複式簿記形式で記帳したものを用意し、加えて補助的な役割の売掛帳や買掛帳なども用意して保存する必要があります。

それらの記録をもって、青色申告の要件の一つを満たせます。

「複式簿記と単式簿記の違い」については、過去のコラムにて詳細に解説していますので、ぜひ参考にご覧ください。

過去コラム▼
初めての簿記!単式簿記と複式簿記の違いと選び方をやさしく解説

提出する書類の違い

青色と白色では、提出が必要な書類や保存が必要な帳簿についても違いがあります。

まずは提出書類について。
確定申告書はどちらも必要なため、書類に明確な差はありません。
そのほかに提出が必要な書類に違いがあります。

青色申告に必要な書類は「青色申告決算書」です。
これは貸借対照表と損益計算書で構成されています。複式簿記にて記帳した内容を記載します。

一方の白色申告に必要な書類は「収支内訳書」です。簡易な簿記で記帳した帳簿をもとに、所得の根拠となる売上や必要経費を記載し、集計します。

青色申告のメリット・デメリットと、エンジニアにとっての節税ポイント

メリット① 最大65万円の特別控除が受けられる

所得税は、得た収入から必要経費と所得控除を差し引いた「課税所得」に、適用される税率を用いて算出されています。
そして、青色特別控除は、収入から差し引かれる所得控除にあたります。
つまり、控除額が大きければ課税所得は少なくなり、納めるべき所得税も減ります。
大きな節税効果を得ることができるのです。
特に、プロジェクト単位で高額な技術投資を行うエンジニアには非常に有利と言えます。

メリット② 専従者(家族)への給与が経費計上できる

通常、生計を一にしている配偶者や家族への給料は経費として認められません。
しかし、一定の要件を満たして申請も済ませ、それが認められれば、その給与を経費として計上することが可能です。
先ほども説明した通り、経費が増えると課税所得が減るので、節税に繋がります。
これを「青色専業専従者給与」と呼びます。

関連記事▼
【青色専従者給与】エンジニアが家族に給与を支払うときの方法

青色申告のメリット③ 一定の原価償却資産を全額経費にできる

通常、10万円以上の備品等を購入した場合は減価償却資産として資産に計上し、毎年減価償却を行うことで経費に計上していきます。つまり、購入した年に全てを一括で経費にすることができません。
しかし、青色申告者の場合は減価償却資産の特例を受けることができます。これは10万円以上30万円未満のものであれば、購入した年に一括で経費に計上することができる特例です。
システムエンジニアやWeb開発には必要不可欠な仕事道具である、パソコンやディスプレイ、新たな開発ツールといった周辺機器も、条件を満たせば経費計上が可能になります。

関連記事▼
【会社規模・取得価額別】パソコンは経費になる?処理方法と固定資産税

メリット④ 赤字の繰り越しが最長3年間可能になる

事業をしていると、思うような利益が出ずに赤字になってしまう年もあるかもしれません。
そんなときも、青色申告ならその翌年以降に繰り越すことができます。
赤字を繰り越しても、翌年以降に利益が出て黒字になれば、繰り越した赤字分を差し引いて所得税計算が行えます。
そもそも赤字にならないことが一番ではありますが、収入が不安定になりやすいエンジニアにとって、事業継続に一役買ってくれることは間違いないでしょう。

メリット⑤ 光熱費等の一部が経費にできる

リモートワークや在宅での案件受注が一般的なエンジニアの場合、家賃や光熱費、ネット回線費などの一部を経費として計上することが可能です。「一部」とは、実際に事業を行うために使用していると証明が出来る分となりますので、計算は少々ややこしくなりますが、節税としてもおすすめです。

デメリット① 事前に申請書を提出することが必要

詳しくは先述していますが、青色申告で申告を行うためには、あらかじめ申請書を提出して承認を得ておく必要があります。
一度承認されれば取り消されない限りは青色申告が可能ではありますが、期限内に申請を行う必要があり、確定申告自体の期限と被っているため、なかなか手を出しづらい面もあります。

デメリット② 複雑な複式簿記での記帳が必須

青色申告を行い、その税制優遇等を存分に受けるためには、「複式簿記」にて記帳を行う必要があります。複式簿記を行うには、ある程度の知識が必要です。
一般的には「日商簿記3級程度の知識」と言われており、知識が全くない状態から勉強をすると、3か月ほどの時間が必要とされています。
事業者としての仕事もある中でこういった勉強をするのは、それなりに高い壁に感じてしまうでしょう。

デメリット③ 基礎控除以下でも申告する必要がある

所得税は、48万円の基礎控除が存在します。
通常、収入がこの基礎控除以下の場合は課税所得が存在しなくなるため、確定申告を行わなくても良いとされています。
しかし、青色申告をしている場合は確定申告の義務が発生するため、毎年確定申告を行わなければなりません。

デメリット④ 承認制である以上、取り消される可能性もある

青色申告を行うためには、事前に申請を行って承認を得る必要があることはお話しました。
承認を得るシステムである以上、要件を満たさなくなったと判断された場合には、その承認を取り消されてしまう可能性があります。
もちろん、そうならないように毎年きちんと記帳や申告を行っていれば問題はありませんが、その可能性があることは念頭に置いておく必要があるでしょう。

白色申告が適している場合

白色申告は、事業を始めたばかりのエンジニアや、税務処理に多くの時間をかけたくない人にとって、シンプルで手軽な選択です。特に、初期段階では収入が安定しておらず、経費もそれほど多くない場合には、白色申告の方が手間も少なくスムーズに進めることができます。しかし、事業が成長し、収入や経費が増えてきた際には、青色申告への移行を検討するのが賢明です。

青色申告への移行を検討するタイミング

エンジニアとしての仕事が軌道に乗り、収入が増加してきた場合には、青色申告への移行を検討しましょう。
特に、高額な技術投資や通信費、外注費が増えてきた場合は、節税効果が大きくなるため、青色申告が有利です。
青色申告を行うためには、「青色申告承認申請書」を事前に提出する必要があるため、早めに準備を進めることが重要です。

どちらを選ぶべきか?エンジニアの判断基準

システムエンジニアやプログラマーが青色申告か白色申告かを選ぶ際には、技術的な設備投資が多く、収入が安定している場合は、青色申告を選ぶことで節税効果を最大限に活用できます。
特に、高額な技術機材やソフトウェアを導入するエンジニアにとっては、青色申告のメリットが大きいでしょう。
一方で、事業を始めたばかりで経費が少なく、税務処理に時間をかけたくない場合は、白色申告の手軽さが魅力です。
まずは白色申告でシンプルに申告を済ませ、収入や事業が拡大してきたら青色申告への移行を検討しましょう。

おわりに

システムエンジニアやプログラマーにとって、青色申告と白色申告の選択は、事業の成長や節税効果に大きな影響を与えます。
それぞれの特徴をよく理解し、最適な申告方法を選ぶことで、効率的に税務管理を行い、事業を安定させることができます。

どちらの申告方法が自分に合っているか迷ったときは、税理士に相談することもおすすめです。正しい選択をして、しっかりと節税対策を講じましょう。

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