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士業のための確定申告ガイド~青色申告と白色申告の選び方~

確定申告の重要性

行政書士や司法書士、社会保険労務士(社労士)などの士業に従事している方々にとって、確定申告は業務の一部として毎年行う必要があります。多くの士業の方々は、個人事業主として独立して活動していることが多く、企業に属している場合でも副業として個人事業主としての業務を行っているケースが少なくありません。そのため、確定申告は自身の報酬や経費の管理をしっかりと行い、正確に税務署に申告することが求められます。

特に士業では、報酬の受け取り形態が委任契約や成果報酬の形式をとることが多く、収入が不定期かつ変動しやすいという特徴があります。また、事務所運営やスタッフの給与管理、さらには業務に関連する書類作成費用や通信費、交通費など、多くの経費が発生します。こうした複雑な業務を効率的に管理し、節税対策をしっかりと講じるためには、青色申告と白色申告の違いを理解し、適切な方法を選ぶことが非常に重要です。

青色申告と白色申告を士業視点で比較

士業に従事する方々にとって、青色申告と白色申告のどちらを選ぶかは重要な決断です。それぞれの特徴を理解し、事務所の運営や業務形態に応じて最適な申告方法を選ぶことが、事業の安定や節税効果に直結します。

白色申告

まず、白色申告はシンプルで簡単な申告方法です。簿記の知識が少なくても、単式簿記による記帳が可能なため、手軽に確定申告を行うことができます。特に開業直後や、まだ事務所の経費が少ない場合には、この方法が適していることが多いです。

しかし、白色申告には青色申告のような特別控除がなく、特に事務所の運営費やスタッフの給与を経費として計上する際には、節税効果が少ない点がデメリットです。
また、赤字を繰り越すことができないため、収入の変動が大きい士業には不利な側面があります。

青色申告

一方、青色申告は、節税効果が非常に高い申告方法です。
青色申告では、最大65万円の特別控除を受けることができるほか、事務所の賃料やスタッフへの給与、業務に関連する通信費や交通費などを経費として計上することができます。
特に士業の方にとっては、事務所運営費や外注スタッフの報酬、業務に必要な設備投資をすべて経費として管理できるため、大きな節税効果が期待できます。

また、業務の性質上、年度によって収入が変動しやすいため、赤字が出た場合にはその赤字を翌年以降に繰り越して利益と相殺することができる点も、青色申告の大きなメリットです。

青色申告と白色申告の違いまとめ

それでは、それぞれの方法について、違いを分かりやすくまとめてみましょう。

青色申告白色申告
対象者不動産所得・事業所得・山林所得があり、青色申告の承認を受けた人青色申告の承認を受けていない人
税制承認されれば優遇措置がある申告納税制度青色の承認がない人が行う申告納税制度
申請開業届と共に「青色申告承認申請書」の提出が必要なし
提出書類・確定申告書B
・青色申告決算書
・貸借対照表、損益計算書
・第三表
・第四表
・確定申告書B
・収支内訳書
保存帳簿・総勘定帳
・仕訳帳
・現金出納帳
・売掛帳
・買掛帳
・固定資産台帳
・法定帳簿
・任意帳簿
記帳方法複式簿記
(簡易でも受けられる場合あり)
簡易(単式)簿記
特別控除額最大65万円なし
不動産所得要件アパート10室以上、貸家5棟以上
など要件あり
なし

表にしてまとめると、おおよそこの通りです。今度は、もう少し内容を詳しく見ていきましょう。

対象者の違い

  • 青色申告:不動産所得、事業所得、山林所得があり、青色申告の承認を受けた人
  • 白色申告:青色申告の承認を受けていない人

白色申告は基本的(原則的)な申告方法なので、青色申告の承認がなく申告が必要な人は、すべて白色申告になります。

事前申請の違い

では、青色申告の承認を受けるにはどうすればいいのでしょうか。
ここで大きな違いとなるのが、「事前申請の必要性」です。
青色申告の承認を受けるには、青色申告の対象となる年の3/15までに「青色申告承認申請書」の提出が必要です。(2024年分の申告から青色にしたい場合は、2024年3月15日までに提出)

新たに事業を開始した場合や、相続によって申請が必要になった場合など、期限が異なる場合もありますので、しっかり確認した上で申請を行いましょう。

参考サイト:国税庁公式HP「青色申告制度 手続き」

税制優遇措置と記帳方法の違い

青色申告には、いくつかの税制優遇があります。代表的なもので「最大65万円の特別控除」や「赤字の3年間繰り越し」などです。
白色申告にはこのような特別な優遇措置はありません。しかし、一律で受けられる控除はあります。

こういった特別な措置を受けるため、一定の要件を満たす必要があります。その要件のうちの一つが、「記帳方法」です。
白色申告において、記帳方法は簡易な方法(単式簿記と呼ばれるもの)で問題ありません。一つの取引について一つの勘定科目で記録する方法で、お小遣い帳のようなものを想像していただければ十分な方法です。

しかし、青色申告においては、複式簿記という方法で記帳していく必要があります。
複式簿記は、一つの取引について二つの勘定科目で記録する方法です。
主に仕訳帳と総勘定元帳に複式簿記形式で記帳したものを用意し、加えて補助的な役割の売掛帳や買掛帳なども用意して保存する必要があります。

それらの記録をもって、青色申告の要件の一つを満たせます。

「複式簿記と単式簿記の違い」については、過去のコラムにて詳細に解説していますので、ぜひ参考にご覧ください。

過去コラム▼
初めての簿記!単式簿記と複式簿記の違いと選び方をやさしく解説

提出する書類の違い

青色と白色では、提出が必要な書類や保存が必要な帳簿についても違いがあります。

まずは提出書類について。
確定申告書はどちらも必要なため、書類に明確な差はありません。
そのほかに提出が必要な書類に違いがあります。

青色申告に必要な書類は「青色申告決算書」です。
これは貸借対照表と損益計算書で構成されています。複式簿記にて記帳した内容を記載します。

一方の白色申告に必要な書類は「収支内訳書」です。簡易な簿記で記帳した帳簿をもとに、所得の根拠となる売上や必要経費を記載し、集計します。

青色申告のメリット・デメリットと、士業にとっての節税ポイント

メリット① 最大65万円の特別控除が受けられる

所得税は、得た収入から必要経費と所得控除を差し引いた「課税所得」に、適用される税率を用いて算出されています。
そして、青色特別控除は、収入から差し引かれる所得控除にあたります。
つまり、控除額が大きければ課税所得は少なくなり、納めるべき所得税も減り、大きな節税効果を得ることができます。

また、士業では、事務所の運営費や書類作成にかかるコスト、通信費、交通費などの経費が頻繁に発生しますが、これらを経費として計上することができるため、結果的に課税所得を減らし、納税額を軽減することができることも、大きな節税ポイントです。

メリット② 専従者(家族)への給与が経費計上できる

通常、生計を一にしている配偶者や家族への給料は経費として認められません。
しかし、一定の要件を満たして申請も済ませ、それが認められれば、その給与を経費として計上することが可能です。
先ほども説明した通り、経費が増えると課税所得が減るので、節税に繋がります。
これを「青色専業専従者給与」と呼びます。

関連記事▼
【青色専従者給与】個人の士業が家族に給与を支払うときの方法!

青色申告のメリット③ 一定の原価償却資産を全額経費にできる

通常、10万円以上の備品等を購入した場合は減価償却資産として資産に計上し、毎年減価償却を行うことで経費に計上していきます。つまり、購入した年に全てを一括で経費にすることができません。
しかし、青色申告者の場合は減価償却資産の特例を受けることができます。これは10万円以上30万円未満のものであれば、購入した年に一括で経費に計上することができる特例です。

関連記事▼
【士業向け】パソコンを購入時の経費の処理方法と固定資産税
士業向け【節税&断捨離】固定資産の除却と廃棄

メリット④ 赤字の繰り越しが最長3年間可能になる

事業をしていると、思うような利益が出ずに赤字になってしまう年もあるかもしれません。
そんなときも、青色申告ならその翌年以降に繰り越すことができます。
赤字を繰り越しても、翌年以降に利益が出て黒字になれば、繰り越した赤字分を差し引いて所得税計算が行えます。
そもそも赤字にならないことが一番ではありますが、収入が不安定になりやすいフリーランスにとって、事業継続に一役買ってくれることは間違いないでしょう。

デメリット① 事前に申請書を提出することが必要

詳しくは先述していますが、青色申告で申告を行うためには、あらかじめ申請書を提出して承認を得ておく必要があります。
一度承認されれば取り消されない限りは青色申告が可能ではありますが、期限内に申請を行う必要があり、確定申告自体の期限と被っているため、なかなか手を出しづらい面もあります。

デメリット② 複雑な複式簿記での記帳が必須

青色申告を行い、その税制優遇等を存分に受けるためには、「複式簿記」にて記帳を行う必要があります。複式簿記を行うには、ある程度の知識が必要です。
一般的には「日商簿記3級程度の知識」と言われており、知識が全くない状態から勉強をすると、3か月ほどの時間が必要とされています。
事業者としての仕事もある中でこういった勉強をするのは、それなりに高い壁に感じてしまうでしょう。

デメリット③ 基礎控除以下でも申告する必要がある

所得税は、48万円の基礎控除が存在します。
通常、収入がこの基礎控除以下の場合は課税所得が存在しなくなるため、確定申告を行わなくても良いとされています。
しかし、青色申告をしている場合は確定申告の義務が発生するため、毎年確定申告を行わなければなりません。

白色申告が適している場合

白色申告は、事業を始めたばかりの士業や、税務処理に多くの時間をかけたくない方にとって、シンプルで手軽な選択肢です。
特に事務所を立ち上げたばかりで、まだ業務が軌道に乗っていない段階では、白色申告の手軽さが魅力的です。帳簿付けや経費管理の手間が少ないため、業務に集中しやすくなります。
しかし、事業が成長して収入が増え、経費も大きくなってきた段階では、青色申告への移行を検討することが望ましいでしょう。

青色申告への移行を検討するタイミング

士業としての仕事が軌道に乗り、収入が増加してきた場合、青色申告への移行を検討することが重要です。
特に、事務所運営にかかる費用が大きくなり、スタッフの給与や外注費などの経費が増えてきた場合、青色申告による節税効果を最大限に活用することができます。
青色申告を行うためには、事前に「青色申告承認申請書」を提出する必要があるため、申請のタイミングを逃さないように注意が必要です。

どちらを選ぶべきか?士業の判断基準

行政書士や司法書士、社労士のような士業が青色申告か白色申告かを選ぶ際には、事務所の運営形態や収入の状況を考慮する必要があります。
事務所を運営し、スタッフを抱えている場合や、外注スタッフを活用している場合は、青色申告を選ぶことで節税効果を最大限に引き出せます。
特に、事務所の賃料や設備投資、スタッフへの給与が増加している場合は、青色申告の方がメリットが大きいです。
一方で、事業を始めたばかりでまだ事務所運営に大きなコストがかからない場合や、税務処理を簡単に済ませたい場合は、白色申告が適しています。

おわりに

行政書士や司法書士、社労士などの士業に従事する方々にとって、青色申告と白色申告の選択は、事務所運営や節税に大きな影響を与えます。
事業規模や業務の特性に応じて、最適な申告方法を選ぶことが、長期的な事務所の安定と税務管理の効率化につながります。

迷ったときは税理士に相談し、正しい選択をすることで、事業の成長をサポートしましょう。

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